第4話
ジェミーはなんともいえない淋しさを感じた。孤独で、誰からも頼りにしてもらえていないような気持ちだった。
マンションに戻ると、母親が満面の笑みでジェミーを迎えた。
「学校はどうだったの?」
ジェミーは一瞬答えに迷ったが、
「楽しかったよ。きれいな校舎だった。」
と答えた。すると、
「プレゼントがあるの。あなたに。パパからよ。」
というなり、紙袋を渡した。
「え!プレゼントって何だろう。」
ジェミーはすぐに紙袋のなかに入っていたものを取り出した。父の働くIT会社のマークの入った、四角い包みがあった。もしや、とジェミーは思った。
「開けていい?」
飛び跳ねたいほどの久しぶりの高揚感を覚えつつ、聞いた。
「もちろん。あなたはきっと歓声をあげるんじゃないかしら。」
ジェミーはそそくさと包みを開けた。中から出てきたのは、新品のスマートフォンだった。ツヤツヤと光るカバー、ジェミーは嬉しさのあまり笑いだしそうになるのをこらえつつ、
「ありがとう!最高すぎ!」
と叫んだ。
「もうあなたも11年生なんだし、学校でも皆持ってるんじゃないかしらって、パパが手に入れてきたのよ。大事に使いなさいね。」
「もちろん!」
ジェミーは駆け出しそうになるのを我慢しながら、自分の部屋へと移動した。
スマートフォンの使い方は、もうパソコンで何度も見ていたので分かっていた。スマートフォンを使ってやりたいことは、たくさんあった。写真投稿サイトでフォロワーをたくさん集めること、通学途中に音楽を聞くこと、セルフィーを撮ること。考え始めたら、興奮が止まらなかった。
スマートフォンをいじりはじめて、早5時間が経とうとしていた。ジェミーはすっかりスマートフォンのとりこになった。
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