第4話 ツリーランド秘密のパーティ その4

「高い所から道を選んであげるから、おとなしく待ってなさい」

「ほんとに姫って傲慢ごうまんよね、お姫様はもっとおしとやかにふるまわなきゃ、ナッツ姫って呼ばれるようになるわよ」

「わたしはそこまで我儘わがままじゃないわ、尊敬できる人にしか敬語使わないの、村長さんとかたかさんとか」

「鷹さん、鷹さん尊敬してるの、どこを尊敬してるのよ」

「何百年も旅してきたのよ、まるで仙人じゃない、それがどれだけ凄い事か分かるでしょ」

「はあ、何訳の分かんないこと言ってんの、何百年生きてる人間なんて、、、」(居る?かな、すぐ傍に、、、)

「そう言う事よ」

(何がそう言う事よ、もう訳わかんない)



 私の場合、通りにくい所はこうやって木を登って次の木にジャンプで飛び移る(ターザンの様にツタは用意されてないから)事が難なく出来るが普通の人には出来ない事を忘れていた。


「ねえ、ここから草が深いのよ、ここからなら船を飛ばしても大丈夫じゃない」

「五人乗れるの、浮かべられるの」

「影丸が50キロ以下なら大丈夫、10キロくらいお肉切り落とそうか、お腹のお肉」

「んーそれ助かる、じゃない、私は胸が重いの、お腹のお肉なんて大した事は御座いません、余計なお世話」

「60キロは否定できないんだ」

「で、出来るわよ、朝一に測ってみなさい、余裕でクリアして見せるわ」

「分かった、分かった影丸が重いのは一目瞭然だから、もう突かないから」

「それ、焼いた金串を突き刺されてるんだけど」

「安心して、隣の子牛君ぽっちゃりお姉さん大好きだから」

「はあ誰が子牛なんだ」

「だってさっきから見てたら、与一君ドナドナだよ、ドナドナドーナードーナー」

「下手な歌やめろ、俺が引っ張られている訳ないだろ、ねえ影丸さん」

「は、はい、与一様、とても立派で御座います」

「影、日輪さんみたいなしゃべり方になってる、さて飛ばしますか」

「伊佐宵どうやって降りるのですか」

「こんなの飛び降りればいいだけ」

 と言って地上から足元まで4メートルほどある枝から水平に飛び出す、両手両足を広げると腕と足の間にムササビの様な幕がブワッと広がる、まあこれ位の高さなら普通に飛び降りてもどうって事は無いけど、これもムササビスーツのテスト飛行、足を閉じると上半身の抵抗が増え足が下がる、地に足が着けばトントントン三歩駈けて停止。

「んーこれ位の高さじゃ効果がよく分からないけど使えそう、今度学校の屋上から飛んでみようかな」

「まるでムササビじゃねーか、お前は物の怪もののけ姫か」

「なんとでも言って、さあ船を飛ばすわよ」

 後ろから背中の服を引っ張られる、振り返るとヒカルが子犬の様なつぶらな瞳に涙を溜めてじっとこっちを見ている。

「ん?」

「素敵で御座います、でも心臓に悪うございます、あらかじめお知らせください」

「あっ、ごめん」倒れそうなヒカルを引き寄せ抱いてあげる。

「ごめん、ごめん、日曜日に連絡が有って届けて貰って、初テスト、言っておけばよかったね」

「ほんとあなた達お似合いのカップル、永遠のカップルよ」

「そ、そんなあ」与一君の落胆の声。

「ですから与一様には、この私が付いております、ゴリラだろうがゴジラだろうが私が与一様を守って差し上げます」

「与一君良かったね、影丸が居れば怖いものなしよ」

「そりゃあ良かった、、、のか」ズルズルズル。

「影、ここから飛ばすから引きずって行かなくてもいいわよ」

「そうでした、なんだか楽しくて」

「なにが楽しんだー!」



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 さてようやくツリーランドの出番が近付いてきました、次話にはきっと。

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