第3話 ツリーランド秘密のパーティ その3

 そこへ「ごめんなさい、遅れてしまって申し訳ございません」といつものようにばか丁寧に言いながらヒカルがやって来た。


 以前の与一君なら破顔の笑みを浮かべて迎える筈なのに、影丸の事も気になるのだろうかうっすらと笑みを浮かべて「大丈夫です、僕たちも今来たところです、伊佐宵<いさよ>だけは待ちきれなくて、お昼休みからずっと待ち続けていたようです」

「そんなに早く来ていたら一人で飛んでいるわよ、もう与一の手助けなんていらないんだから」

「これは失礼伊佐宵さん、僕の事は友部先輩と呼んでくれたまえ」

「あらごめんなさい、昔のラブラブだった時の癖が抜けなくて、でももうりを戻せと言われても無理よ、与一君よりはるかに素敵な彼が帰りを待っていてくれるから」

「ラブラブなんかなってねえ、あれは単なる噂だけ、気にするな黄昏、こいつに彼なんか百年経っても出来っこねえ」

「友部様、そのとおりで御座います、伊佐宵いさよの彼女はこのわたくしで御座います、ですから伊佐宵に彼が出来ることは御座いません」

「あのあのあの日輪様、日輪殿のお相手はこの友部、友部与一をお忘れなく」

 あまりのカオス状態に影丸がキレる。


「あんたたち、なにグズグズ言ってるの、恋愛相談じゃないんだから(急にしおらしくなって)友部様早く参りましょう」

 と与一君の腕を強引に絡め取って引きずって行く。

 なすすべもなく引きずられていく与一君

「ドナドナドーナドーナー」わたし。

「子牛をのーせーてー」ヒカル。

「ドナドナドーナードーナー」合唱

「こ、こら助けろー」

「引かれていくよーバイバーイ」わたし


 引きずられていく子牛を眺めていると右手を引っ張られた。

伊佐宵いさよい参りましょ」とヒカルが手を繋いでいる。

 が正解なんだけど十六夜いざよい姫の名を持つ私の事を知っているから-でもない、それを知る前からと呼んでいたヒカル。


 手を繋がれ、いや傍に寄るだけで女(だと思う)のこの私さえ顔が赤くなるなるくらい可愛いいこの子、最近では休み時間でもピッタリくっ付いてきて、私が学校一のマドンナを独占していると、やたらと私に風当たりが強くなっている。


 その前はここにいる学校一のプレイボーイと呼ばれていた(過去形)与一君と学校中に浮いた話を流されたこの私、女子からも男子からも邪魔者扱だ。



「姫、先に行きなさいよ、あんたしか場所知らないんでしょ、蜘蛛の巣に引っかかるのは嫌だからちゃんと取っておいて」

 (先週イノシシを仕留め肩に担いで山を下りた影丸の言葉とは思えない)

 与一君を相手にする態度とまるで違う、地を隠すのは止めた様だ。

「ねえここで膨らませて全員乗せて行こうか」

 私の言葉を「ダメで御座います」

「なに考えてるの、その辺の家から丸見えでしょ」

 女性二人から即却下される。

「あああ、あおあお、蒼井ざん、ににに荷物ももも、、、」

「あっ黄昏さん、荷物持ってくれるの、ありがとう」

 一見重そうなこの空舟バッグ、肩から外しぽいっと黄昏さんに放り投げる。

 身も軽くなり草の深いところで木の枝にジャンプしてぶら下がり枝を伝っていると、即抗議の声が上がる。

「私たちはお猿じゃないんだから、そんな枝に飛びつける訳ないでしょ、お猿が姫様ってどうよ」言いたいことを言ってくれる影丸。



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 すいません、私は進行が遅くってまだ『ツリーランド』にたどり着けません、

 四話にはきっと、多分、ちょっとくらい、は書けるかな。




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