第14話用心棒、再来
「兄貴、兄貴!」
「えっ、あ、はい」
「いつまで寝てんの?もう時間だから」
「あっ、すみません」
三人が料亭から出てくる。
「ありがとうございました」
「じゃ、またね!」
「また!」
「気をつけて」
手をふり、帰る山田とリツ。
店の前にいたケイに声をかける花。
「ケイさん!
ほんとに来てくださったんですね!」
「うん何ともなかったみたいで良かったね」
「はい、楽しかったです」
「じゃあ、駅まで送るよ」
山田達と反対方向へ歩きだす二人。
リツがふいに振り返る。
二人の背中が見える。
「兄貴!」
呼び止められ、振り向く。
二人が並んで歩き、ケイがさりげなく
花を車道から内側へエスコートするのが見えた。
「アレ誰だ…」
「次のお客さん?」
「いや
花さんはもう帰らなきゃいけない時間だ」
「旦那?」
「…」
立ち尽くす山田。
夜、自宅で父親と二人で夕飯をとる山田。
テレビのナイターだけが響き
無言で食べる二人。
風呂から上がり自室でベッドに寝転がり
花のハンカチを頬にあて
ひざまくらを思い返す。
二人の背中を思いだし
遠くを見つめる
リリーに来週の予約を入れる。
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