第13話ひざまくら

「はーうまかった!」

「ごちそうさまでした」

「ねぇ、花さん。お願いしていい?」

「なんですか?」

「ひざまくらして❤」

「…え?」

「おまえ何言ってんだよっ!」

「年上の女にはひざまくらしてもらえって

じいちゃんの遺言で…」

「そんなの聞いたことねぇよ!」

「いいですよ」

「えー!?」

お願いしたリツも驚く。

「よしっ」

花の太腿に頭を乗せるリツ。

「はーやわらけー❤しあわせー」

山田の膝の上の拳が震える。

「癒されるわ〜❤」

「ふふふ」

まんざらでもない花を見てさらに震える拳。

「花さぁん。ドライブどこ行きます?」

「ドライブですか?」

「うん、海とか山とかそういう所でひざまくらしてもらったらサイコーだろうな❤」

「音楽、オレ用意してきますね」

「花さんは何聴くのかな?

サザンとかユーミン世代?」

「そうですね、どちらも好きですが

今はワンオクが好きです」

「俺も好き!花さん、意外だなぁ」

「じゃあ音楽は用意するから

運転お願いします」

「免許お持ちじゃないんですか?」

「そうなんですよ」

「私あんまり自信ないけど大丈夫かなぁ…」


「もういいんじゃないのか?」

ものすごい形相で山田が低くつぶやく。

「あ、交代?」

「へ?」

「どうぞ」

「ど、どどどどどどうぞって!?」

「兄貴も甘えなさい」

「失礼します」

素早くリツと反対側にぴったり付ける山田。

「はい、どいて」

リツの頭をどけて、そっと頭を乗せる。

「はぁ❤」

堕ちる山田。

遠い昔

あたたかな景色が山田の脳裏に浮かぶ。

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