第12話三人のランチ

「いい女じゃね?」リツが小声で囁く。

無言で押し返す山田。

「リツさんは、職場はお近くなんですか?」

「職場というか…

自宅兼事務所ですね。赤坂です」

「在宅でお仕事されてるんですね」

「えぇ、時間に融通が効くのでランチはいつでも歓迎です」

テーブルの下で山田がリツの腕をぐいっと引っ張る。

「兄貴が女性と毎週ランチに行くって聞いて

ちょっと心配になっちゃって」

「心配?」

「おいっ!」

「だって兄貴、彼女いたことないから。

こじらせてます」

「やめろよ!」

「そうなんですか?素敵な方なのにもったい ないですね」

「どうすればモテますかね?」

「たぶん…慣れだと思います。女性に接する

ことに慣れること」

「慣れかぁ。男子校だったしねー」

「だから、このランチとかレンタルで練習 るのはいい事だと思いますよ」

「ですよね!デートしてやって下さい」

「おいっ!」

「映画、楽しかったですね。次はどこ行きますか?」

「つ、次ですか?」

「へぇー、映画行ったんだ」

ニヤニヤしながら、山田の顔を覗きこむ。

「花さんはどこ行きたいですか?」

「うーん、どこがいいかなぁ」

「水族館とか、ドライブとか…迷うなぁ」

「オレも花さんとドライブ行きたいなぁ」

「なんでおまえなんだよ!」

「いいだろー」

ふふ、と笑って鴨肉を口に運ぶ花。

リツ、山田が見入る。(やっぱエロい)

花と目が合う。

「ん?」

「う、上手いよね鴨肉」

「うん、あぁ」

「ほんと、おいしい」

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