第10話ハンカチ

いつもの料亭で向かい合う二人。

「先週は楽しかったですね」

「そ、そうですね…

あ、先週お借りしたハンカチなんですが

洗って返すのもどうかと思って…」

小さな包みを差し出す山田、

「新しいの買ってきたんで、 受け取ってください」

「えっ、そのまま返してもらって良かったのに…気を遣わせてしまってすみません」

「ありがとうございます。開けてみていいですか?」

「どうぞ」

嬉しそうに包みを開ける花。

「前のハンカチは処分してしまっていいですか?」

「はい、お願いします」

(よし)山田小さくガッツポーズ

「わぁ、素敵。この色、あの映画のヒロインのワンピースに似てる…」

「そうですよね。僕もそう思ったので、これに決めました」

「山田さん

ちゃんと自分で選んで下さったんですね。

嬉しいです。ありがとうございます」

「あ、いえ、喜んでもらえて良かったです」

食事を続ける二人。

「それと…来週、お願いがあるんです」

「はい、何でしょう?」

「実は…僕の弟も一緒に食事をしたいと言い出しまして…」

「弟さん、いらっしゃるんですか?」

「はい…5歳下の弟がいます」

「そうなんですね。ここで三人で食事ってことですか?」

「はい、大丈夫でしょうか…?」

「えぇ、私は大丈夫です。でも、一度リリーさんに確認していただけますか?」

「はい、確認してリリーさんから連絡してもらいますね」

「ふふ、なんだか楽しみですね」

「はぁ…」山田は少し困ったように笑う。

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