第5話汗
「お疲れ様です。来週ですが
山田さんにご指名いただきました。
宜しくお願いします。
時間、場所は前回と同じです」
「わかりました。ありがとうございます」
顔を上げホットヨガスタジオの扉を開ける。
ホットヨガで汗を流す。
今回は遅れず
早めに到着して座敷で待つ。
ランチ懐石はすでに並んでいる。
「失礼します」
襖を開けて山田が入ってくる。
「こんにちは。
今日はご指名ありがとうございます」
「あっ、こんにちは。指名なんてしちゃって
すみません…」
「いえ、嬉しかったです。私も、山田さんと
もっとお話してみたかったし…」
「そ、そうですか…」汗がにじむ。
「まずはいただきましょうか」
「あ、はい」
「いただきます」
「山田さんは
どんなお仕事されているんですか?」
「SEです」
「SEって?」
「システムエンジニアです」
「どんなお仕事なんですか?」
「コンピューターで使うシステムの設計をし
ます」
「そうなんですか…
なんだか難しそうですね」
「は、はぁ…」
「会社はこの近くですか?」
「そうです。歩いて3分くらいで着きます」
「は、花さんは普段どんなふうに過ごされて
いるんですか?」
「毎日のルーティンは掃除、洗濯、 片付けですね。買い物は毎日ではないです。 それを済ませたらホットヨガへ行きます」
「ホットヨガ?」
「室温が35度とかで、湿度も高い室内でヨ
ガをするんです。
すっごく汗が出て スッキリしますよ」
「そ、そうなんですか…」汗が流れる。
「お肌もツルツルになりますよ」
「お、お肌ですか…」
「山田さんは
お休みはどうされてるんですか?」
「えっ」
アニメキャラだらけの自室でフィギュアに色づけする自分を回想する。
「ど、読書とか、映画観たり…」
汗が吹き出す。
「映画いいですね!私も好きです。
でも、一人で観るのはなんだか寂しくて」
「今度、一緒に観れたらいいですね」
「はぐっ」
山田は喉を詰まらせた。
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