第3話出会い

スマホにイヤホンを繋ぎ、音楽を聴きながら家事をする花。

眼鏡にすっぴん。

リリーからLINEが来た。

長文の就労規約の後に、来週のスケジュールが入る

「料亭…現地に直接か…」


正座で待つ山田。腕時計を見る。

正午を少し過ぎている。

目の前には、二人分のランチ懐石がすでに並んでいる。

「失礼します!」

「遅くなり、申し訳ございません」

花が顔をあげると

山田は正座が崩れてのけ反った。

「あ、は、はい、どうぞ…」席へ促す。

「失礼します。

ホワイトリリーから参りました花です。

宜しくお願いします」

「あっ、宜しく、お願いします。」

「すみません

お料理さめちゃいましたよね…」

「あ、いえ、召し上がってください」

「はい。ありがとうございます」

「いただきます。」笑顔で合掌。

「うん、美味しい」

美味しそうに食べる花から目が離せない。

(食べ方…エロい…)

「すみません、私ばっかり食べちゃって…」と箸をおく。

「い、いえ、どうぞ。僕もいただきます」

お茶を一口飲み、話し出す。

「山田さんは、いつもここでリリーの方とお食事されているんですか?」

「そうですね、週に一度ですね。」

「そうなんですね…」

山田、空気を察して話し出す。

「僕、母親を早くに亡くしていて。

年配の女性と食事するのは、母がいたらこんな感じなのかなぁ…って。

は、花さんはお若くてビックリしました。」

「あっ、チェンジですか?」

「いや、大丈夫です。ただ、若い女性に免疫ないので…」

「私、若くないですよ。レンタルおばさんですから。」クスクス笑う。

山田も、もごもご言いながら笑う。

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