第2話脱・専業主婦

午後5時少し前

同僚が書類を持ってやってくる。

「山田さーん、ごめん、これお願いできる?

ちょっと間に合わなくて。」

「あぁ、はい…」

「じゃ、よろしく!お疲れっす!」

山田に残務を押し付け、退社する同僚達。

暗くなり、山田のデスクにだけライトがついている。

リリーからLINEが入る。

「いつもお世話になっております。

来週は新人が参ります。至らないことがございましたら、私の方までご連絡下さい。宜しくお願い致します。」

「わかりました。」


オープンカフェにいるリリー

スマホが鳴った。

「はい、リリーです。あ、着いた?ちょっと待って」

立ち上がって見渡す

「あ、アレかしら?ここ!手振ってます!」

気づいて手を振る。

「どうも、はじめまして。代表のリリーです。」

名刺を差し出す。

「ありがとうございます。はじめまして、藤木です。宜しくお願いします。」

「じゃ、まず履歴書拝見します。」

バッグから履歴書を取りだし、手渡す。

「今はお仕事はされてないの?」

「はい、専業主婦です。」

「そう。希望はお昼の時間帯だけね。」

「はい、子供が帰って来るまでの時間帯でお願いします」

「わかりました。うちはね、オフィスは構えてないの。契約したスタッフとは、全てスマホで連絡してるのよ。LINEできる?」

「はい、できます」

「良かった。じゃあLINEで連絡します。」

「あの…採用ですか?」

「ええ、もちろん。うちはレンタルおばさんだけど、いいの?おばさんにしては若いけど。」

「はい、もちろん大丈夫です!採用ありがとうございます!」

「名前、どうしようか?本名って人はほとんど居ないのよね」

「花の名前だから…花ちゃんはどう?」

「花ちゃん、可愛いですね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る