第17片 変化
カナダに到着して1ヶ月が経った。英語は既にある程度習得済みだったため、今回は仏語圏に留学していた。英語を何も話せなかった頃を思い出しながらの生活が、新しいはずなのに懐かしかった。彼氏とは週に一度電話をしていたが、最近は忙しいのかなかなか電話ができなくなっていた。SNS上での返信も遅い。そんな中で友人の報告があった。
ーーー
友人「ねえ」
私「どうしたの」
友人「あなたの彼氏さん、浮気疑惑よ」
私「え」
友人「この間図書館で可愛らしい女の子と一緒に勉強してるの見たの!」
「絶対1女よ、あれ!!」
ーーー
私は非常にショックを受けていた。たった一人の友人のリークで彼の浮気を疑うのもどうかと思い、何かの悪い夢だと思い込もうとした。そんな矢先、次々と他の友人からも同様のリークが舞い込んできた。やはり、距離には勝てないのか。1週間ほど散々悩んだ挙げ句、私は彼を縛り付けるのも悪いと思い別れることを心に決めSNSでメッセージを送った。
ーーー
私「話があります。電話できる日教えて」
彼氏「わかった。今日の21時ならいける」
私「わかった」
ーーー
私はスマホをベッドへと放り投げた。これまで彼と一緒に過ごした時間がふと走馬灯のように過ぎる。死ぬ直前ってこんな感じなのかなと自嘲気味に笑いながら額に手をあて仰向けに寝転がった。熱い何かが目頭に込み上げてきて頬を伝った。きっとこれで正しい。これが正しいんだ。私はそう言い聞かせ、日本時間で21時になるのを待った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます