第14片 決意

 11月に入るとゼミが始まった彼は忙しく、なかなか会うことが出来なくなった。会ってもゼミの資料を読み漁るばかりでとてもデートに行こうと誘える雰囲気ではなかった。そこで、私は自分自身に目を向けることが多くなった。彼は着々と自分の夢に向かって準備を進めているが、私はなんとなく大学生活を送っているだけだった。このままではだめだ、そう思い私はある決意をした。


 国際課に私が資料を提出すると事務員の方が「2週間以内に合否をメールにてお知らせいたします。」と言って和かに微笑んだ。私も愛想笑いを浮かべ、その場を後にした。


 それから3日後、スマホの通知ランプが光っているのを目にして開けてみると大学側からの合否結果メールが届いていた。少しドキドキしながら開けると「合格」の文字が目に飛び込んできた。私は嬉しくて、留学を相談していた友人たちにSNSでメッセージを飛ばした。

ーーー

「ねえ!合格した!」

「は?カナダ?おめでとう!!!!!」

「おめでとう!でもカナダ行っちゃうの寂しい〜〜〜」

「それなら明日合格祝いしようぜ!」

ーーー

 私はメッセージを見てニヤニヤしながらカレンダーを見る。これで、カナダ留学は来年の1月からスタートだ。どうやら交換留学生に欠員が出ていたらしく、大学側が困っていた。そこに私がカナダに留学したいと申し出たものだからトントン拍子に決まった。以前、私がカナダへ留学したこともあり手続きに手こずることもなかった。本来ならこの速さで留学が決まることはありえない。私は立ち上がり、窓の外を見た。夕焼けに染まった空が今日は一段と美しく見える。これで私も「何か」一生懸命できるはず。きっと彼に褒めてもらえる。そんなことを思いながら、スマホを握りしめた。

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