第6片 図書館

 昼食の時間にも関わらず、案外賑わっている図書館。噂では何億円も投資したらしく、最新の設備を装備して昨年完成したばかりだ。


「あの、図書を初めて返すんですが」

「ああ、それでしたらこちらに入れてもらえれば返却完了になります」

優しそうな司書さんが丁寧に教えてくれた返却方法で無事図書を返した後、部屋を出ようとしたところで見知った旋毛を発見した。間違いない、彼だ。


「やっほ」

気づかれないように後ろから回り込み、声をかけると一瞬驚いた顔をしたもののすぐに笑顔になった。

「珍しいな、この時間にここにいるなんて」

「今日はたまたまね。ねえ、お昼食べた?」

「まだだけど?」

「私もまだだから一緒に食べない?」

「そうしよう。けど、ちょっと待って。この1問だけ解かせて」

「はーい」

私はそう言いながら腰掛けた。目の前に座る彼がペンを走らせる姿に惚れ惚れする。自分が文系なせいか、理系の彼に惹かれるようだった。


「よし、終わった。待たせてごめん」

「ううん、いいの。行こ」

私たちは自然に手を繋いで図書館をあとにした。

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