第6片 図書館
昼食の時間にも関わらず、案外賑わっている図書館。噂では何億円も投資したらしく、最新の設備を装備して昨年完成したばかりだ。
「あの、図書を初めて返すんですが」
「ああ、それでしたらこちらに入れてもらえれば返却完了になります」
優しそうな司書さんが丁寧に教えてくれた返却方法で無事図書を返した後、部屋を出ようとしたところで見知った旋毛を発見した。間違いない、彼だ。
「やっほ」
気づかれないように後ろから回り込み、声をかけると一瞬驚いた顔をしたもののすぐに笑顔になった。
「珍しいな、この時間にここにいるなんて」
「今日はたまたまね。ねえ、お昼食べた?」
「まだだけど?」
「私もまだだから一緒に食べない?」
「そうしよう。けど、ちょっと待って。この1問だけ解かせて」
「はーい」
私はそう言いながら腰掛けた。目の前に座る彼がペンを走らせる姿に惚れ惚れする。自分が文系なせいか、理系の彼に惹かれるようだった。
「よし、終わった。待たせてごめん」
「ううん、いいの。行こ」
私たちは自然に手を繋いで図書館をあとにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます