第3話 最初はこんなもの

「14時に千輪競技場に来てください」

そう電話で言われた。


今日はどんな仕事をするんだろう。

自分にやり遂げられるのかな。

電車に乗りながら、不安が景色とともに

流れていく。


最寄り駅は「競技場前」。

家からここまで来るのに1時間半。

アルバイトの規定では、市内は一律500円の

交通費が支給されるらしい。


集合場所は駅の目の前にあるので迷うことはなかった。

ふと見ると、周辺には同じような学生風の

若い人達が結構いた。


もしかしてこの人たちも?

と思っていると

「14時集合のリブスターズの人はこちらへ!」

と言う声が聞こえた。


リブスターズとは、イベント会社の名前だ。


集まると、名前を呼ばれ、確認をされる。

そしてパスを渡される。

どうやら全員集まったようだ。


「それでは私についてきてください!」


スタッフってこんなにたくさんいるのか、と

驚いた。

裏口から入って、会場の中を通り、更衣室

らしき部屋に案内される。


更衣室で着替えると、ミーティングのために

1度みんな集まる。

そして今回のイベントの内容、時間、

注意事項などが伝えられる。

その後、それぞれの持ち場へ分かれる。


そこで初めて知った。

初めてのバイトがライブではなく、

「サッカー公式戦のスタッフ」

だということに────





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