第4話 てんやわんや
僕の持ち場はA入口というところだった。
ここには5~6人ほど人がいて、それぞれ
違う役割を与えられるようだった。
「とりあえず、これで入ってきた人数えて」
と渡された謎の道具。
カウンターと呼ばれるものだ。
見たことあるかな?
ボタンがひとつついていて、これを押すと
数がカウントされる、あれだよ。
よくあるよね。遊園地とかでお客さんの
人数を数える、カチカチ鳴る道具。
あれがカウンターだ。
実物を見たのは初めだった。
1度押してみたかったんだ。
と楽しい気持ちに浸っていたのは一瞬で。
「それじゃ、お客さん入ります!」
というチーフの声で門が開いた。
よし!やるぞ!と、次々とボタンを押した。
カチカチカチカチ
意外とみんな早足だな
カチカチカチカチ
ちょっと早くないかい?
カチカチカチカチカチカチ
待ってほんとに。間に合わない。
待って待って待って。
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ
「あの~、すいません。」
「え、あ!はい!」
「あの~、さっきチラシもらい忘れたんだけど、もらえるかしら?」
「あ~、チラシですね、えっと」
チラシは入場する際に渡している。
たまにもらい忘れる人もいるようで
こうして近くのスタッフに声をかけることも
しばしばある。
人数を数えてボタンを押すスタッフって、
何もしてないように見えるよね?
うん、分かる。分かるよ。
僕は目の前でチラシを配っていたスタッフ
の足元にあるチラシを取り、その人に
手渡した。
「ありがとう!」とその人は去っていった。
いい笑顔だったな。
さて。
今ので何人見逃した?
そこからはもうひたすら、ボタンを押した。
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ
そうしてバイト初日は無事、終了した。
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