第3話

前回までのあらすじ


数々の部屋の探索をした木狩は、五月雨のメールに従い、食堂へ足を運んだ。

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俺が食堂に着いた頃にはすでに食事が用意されていた。


城松「あっ、木狩。来たな。ご飯出来てるで。」


愛田「やっぱり、城松ちゃんのご飯は美味しいよ!」


城松「そ、そんな誉めるなや。」


木狩「確かに、朝ごはんは美味しかったな。」


城松「…。」


その時、他の人も食堂に来た。


五月雨「ごめんね、遅れて。メールを送った張本人なのに…。」


梶野「しょうがないっすよ。気になることがあれば、それを調べることが大事っすよ。」


幕明「あれ?城松ちゃん、なんか顔赤くなってない?」


城松「…席ついて早く食べや。」


木狩(なんか、和やかな雰囲気だな。これがデスゲームだとは思えないほど。)


そして、各自で食事を始めた。その途中、


最上「…それで、わたしたちを集めたのは?」


五月雨「ああ、ええとね。これから、の行動について話したいんだ。」


無藤「では、地下室に向かうのはどうだ?あそこなら脱出に繋がることがあるのではないか?」


宝井「でも、仕掛けがたくさんとゲームマスターは言っていましたよね。中には犠牲が出るものもきっと…」


複坂「でも行かないと♪それともー、殺し合い…しちゃう♪?」


木狩「…地下室に行くしかないみたいだな。」


五月雨「じゃあ、ご飯を食べたあとに向かおう。」


愛田「うん、それでいいと思うよー。」


黒山「結局、一はまた降りて来なかったのう。また、ご飯を運びに行くか。」


城松「ウチは、後片付けがあるから…。」


木狩「じゃあ、3人を除いたメンバーで行こう。」


黒山「運んだら追いかけるからのう。」


城松「ウチも同じや。」


無藤「さすがに最初は死ぬことはないだろうから、安心していいと思うぞ。」


幕明「できるだけ無理しないで、慌てないでね。」


その後終始、和やかな雰囲気が続いた。そして、食事が終わり…、


五月雨「…よし、行こうか。」


五月雨の言葉を合図に、みんなは、「地下室行き」と書かれた扉の前に集まった。


宝井「一応、気を付けたほうがいいですね…。」


木狩「この先、何があるか分からないからな。」


そして、扉を開けた。

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階段を降りると、開けた場所に出た。

そこは、3つの扉に分かれている場所だった。


愛田「扉がこんなに!?頭がこんがらがっちゃいそう…。」


そして、真ん中の扉の上にある看板には、


「試練を終えて出た扉を通れるのは、1人まで」


と書かれていた。


五月雨「今、9人いる。だから、3人3組に分かれよう。」


俺は梶野、愛田と同じ組になり、右側の扉に行くことになった。

(ちなみに、五月雨、最上、無藤は左側で、複坂、幕明、宝井は真ん中となった。)


右側の扉を開けると、3つの仕掛けがあった。


1つ目は絡まったコードをほどくというもの。


2つ目はパズルのようなものを解くというもの。


3つ目はクイズを解くというもの。


一応、挑戦してみた。


梶野「絡まり方が尋常じゃないっすね。運が強くても、もはやどうにもできないほどっす。」


愛田「クイズっていっても全然分からないよー。考えられなくなっちゃった…。」


木狩「…このパズルなんてみたことないし、解き方も分からない。」


俺たちは諦め、一度戻ることにした。

みんなもそうだったのか、戻って来ていた。そして俺はあることに気づいた。


木狩「あの看板に書いていた試練って、あれのことだったのか。」


五月雨「多分、木狩くんが言っているものと同じものがあったよ。」


複坂「あっ!僕の所にもあったよー♪」


五月雨「だとしたら、ここは恐らくみんなの特技を生かすところだと思う。」


木狩「?」


五月雨の言葉を聞いた瞬間、何かの記憶がフラッシュバックした。

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???「秀輝はさ、《刃物で紙を切るような状況》って言葉知ってる?」


秀輝?「刃物で紙を切るような状況?」


???「簡単に言えば、自分の持っている特技を生かせる場面のことだよ。」


秀輝?「どういうこと?」


???「そうだね…、秀輝は推理が得意だよね?」


秀輝?「うん、まあ。」


???「じやあ、秀輝がもし何かの事件に出くわしたら、秀輝の特技が生かせるでしょ?」


秀輝?「そっか、推理で助けられるかも。」


???「そうそう。今後、そういう状況にあったら、必ずみんなを助けるんだよ。」


秀輝?「うん、そうするよ。」

────────────────────

五月雨「木狩くん?どうしたの?」


木狩「…!」


五月雨「?」


木狩「…いや、なんでもない。続けてくれ。」


五月雨「そう?じゃあ続けるね。

…つまり、それぞれの特技に合う所に行ったほうがいいと思うんだ。

だから、そこに誰が行けばいいのかを教えてくれないかな。」


木狩「ああ、分かった。」


木狩(俺が行った部屋に行けばいい人は…。)


木狩「…幕明、五月雨、無藤の3人だ。右側の扉に行ってくれ。」


幕明「えっ、僕?」


五月雨「右側だね。分かった。」


無藤「了解だ。」


複坂「えーとね、真ん中は、最上、木狩くん、愛田ちゃん、そして黒山さんの4人だよ♪」


木狩「俺か。」


愛田「私、何するんだろ…。」


最上「きっと出来ることがあるさ。きっと。」


五月雨「左側は、宝井さん、複坂くん、梶野さん、城松さんの4人だったよ。」


宝井「私ですか…?」


複坂「僕の出番だね♪」


梶野「自分のはもはや誰でも出来る気がするっす…。」


そうして、それぞれの役割がきまった。だけど…、


木狩(あれ、試練が一つ分足りなくないか?)


…一の分の試練がないことに気がついた。


木狩(これはいったい…。)


俺は思考を取り払い、左側の扉に向かった。


俺は部屋に入って早速、3つあったモニターの中で、自分に割り当てられた試練を探して、その前に立った。

それは、本当に推理問題のようなものがモニターに映し出されていた。


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ある四人がくじを引き、1つしかない、印が書いているくじを引いた人物をあなたに当ててほしい。なお4人は、誰が印付きのくじを引いたのかは知っている。(3人は嘘を言っている。)

印付きのくじを引いたのは誰か。また、この中にいる、本当のことを言っている者は誰?


Aさん:わたしは印付きを持っている。


Bくん:Cくんか、Dさんが印付きを持っている。


Cくん:Aさんか、Bさんが印付きを持っている。


Dさん:Bくんか、Cくんが印付きを持っている。


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木狩「…簡単だな。」


念のため、もう一度頭で整理しよう。

その前の確認として、

「○か、●が印付きを持っている。」

という言葉が嘘のとき、


(「○が印付きを持っている。」と、「●が印付きを持っている。」が嘘のため、)


「○も●も印付きを持っていない。」

と言い換えられる。それを踏まえて、



1,Aが本当だとしたら、Cの発言が嘘になることで矛盾する。


2,Bが本当だとしても、どことも矛盾しない。


3,Cが本当だとしたら、AとDの発言が嘘になることで矛盾する。


4,Dが本当だとしたら、BとCの発言が嘘になることで矛盾する。


そうなると、

本当を言っているのはB、

印付きを持っているのは、Dの発言が嘘になることで、Dとなる。


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俺はそれらをモニターに向かって入力すると、「正解」と表示されて、


ゴゴゴゴゴゴ…


と音がして、驚くことが起きた。

モニターと、その周りがずれて、扉のようなものが現れた。


木狩「…何だこれ。」


絶句だった。


愛田「うわー、すごーい!わたしももうすぐだから、頑張らないと!」


最上「わたしももう少しだ。わたしたちが終わるまで待っていてくれ。」


そして…


ゴゴゴゴゴゴ…


と音がして、扉が2つ現れた。


木狩「よし、行こうか?」


愛田「うん!この先なにがあるか、ドキドキするね!」


最上「わたしは悪い意味でドキドキするがな…。」


そうして俺たちはドアの中に入った。


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進んだ先は映画館の扉のように、大きな扉があった。その扉の上の看板には、


「11人になるまで開かない」


と、書かれていた。そして、他の人がすでに居た。


五月雨「やあ、来たね。」


無藤「怪我とかなかったか?」


木狩「ああ。大丈夫だった。」


幕明「よかった。じゃあ、他の人待とっか。」


そうしてちょっとして…


複坂「クリアできたー!…あれ、みんないるよ?」


宝井「皆様すみません、遅くなりました。」


梶野「申し訳ないっす。自分のせいで遅れたっす。」


宝井「いや、私だったら一生かかりますよ。それに比べれば…。」


木狩(どんなことをしたんだ!?)


五月雨「とりあえず、あと2人待つ必要があるよ。来ていない三人にメールするから待っててね。」


五月雨が言った言葉に従い、他の人を待った。


しばらくして、城松と黒山が来た。


城松「待たせたな。試練とやらに時間食ったわ。」


黒山「一のやつ、来ないと言っておった。あいつときたら…。」


愛田「ま、まぁ11人居ればいいんだし…ね?」


木狩(11人…、ちょうど一の分が抜けている…?)


と、俺が思った瞬間、


キィー…ガシャン!


と、扉が開いた。


最上「じゃあ、行こうか?」


城松「ちょい待ち!夜ご飯や。簡単なものだけどな。」


複坂「うわー!美味しそう♪」


城松「とりあえずここで食べや。」


そして俺たちは夕食を食べた。



五月雨「よし、みんな食べたね。じゃあ早速…」


突然アナウンスが鳴り、ゲームマスターの声が聞こえた。


ゲームマスター「皆様、就寝時刻15分前となりました。二階にある、それぞれの個室へとお戻りください。なお、地下室にいらっしゃる場合は、1時間前に戻る行動をなされてください。では。」


無藤「そんなルールが…。」


木狩「もうそんな時間なのか。じゃあ、戻らないといけないな。」


と、みんな戻って行った。ただ、早く行動しすぎたせいか、誰もの密かな笑い声に気づかなかった…。


複坂「…ふふっ。」



俺は、一階に戻ったあと、もう個室に戻ってベッドに入った。


木狩「…。」


────────────────────


答えは君の中に。


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木狩「…また変な夢だ。」


俺は身支度をして、携帯を確認した。すると、メールが届いていた。


───────────────────


To:全員


From:五月雨


起きたらロビーに集合っていったけど、

やっぱり食堂にしよう。その方が効率的だと思うんだ。


送.7:15


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木狩「…よし、行くか。」


俺は早速ロビーではなく、食堂に向かった。


食堂に向かうと、すでに4人ほどいた。


幕明「あっ、木狩くんだ。」


五月雨「やあ、おはよう。」


城松「おっ、起きたかいな。」


宝井「おはようございます、木狩さん。」


木狩「おはよう、みんな。」


その後もどんどん人が来た。


最上「おはよう、みんな早いな。」


と最上が、


黒山「お前さんたち、今日も1日がんばるぞ!」


と黒山が、


梶野「みなさん、おはようっす。」


と、梶野が来た。


…。


木狩「…他は?」


もう、集合時間の8時を過ぎている。俺の鼓動は急に速くなった。


黒山「一は、また来ないぞ。」


五月雨「だったら今来ていないのは、愛田さん、無藤さん、そして複坂くんの3人…?」


木狩「…起こしに行こう。」


俺は無藤さんを、五月雨は愛田を、最上は複坂を起こしに行った。



俺は無藤さんの扉の前に立つと、ドアノブに手をかけた。


木狩「…開いてる?」


俺が扉を開けた次の瞬間、


「うわあぁぁぁぁ!」


と、叫び声が聞こえた気がした。違う、これは…、


そこには、腹部に包丁が刺さってベッドで寝ている、肌がわずかに白くなっている、


無藤むとう 良介りょうすけの、残酷な姿があった。


────────────────────


死亡者


・無藤



残り11人…

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