関西対決

木曜日、俺は授業が終わると甲子園球場に向かった。対戦カードは阪神対オリックス戦。流石に俺だけでは行かないので、阪神ファンの川端とオリックスファンの桂木と一緒に球場に向かう。まあ、元々は2人に誘われたのだが。2度中止で振り替えられたこの試合が終わると交流戦が終了し、明日からはリーグ戦が再開する。


学校から30分ほどかけて甲子園球場に着いた。球場に着くと、まず当日券を購入。買った席は三塁側のアルプス席。この日は平日でしかも振り替え試合ということもあって、いくら甲子園とはいえ席には余裕があった。




「しっかし、客いねーな」


「阪神さんは甲子園すら埋められへんの?」


「まだ試合前やで・・・」




球場に着くと、3人は早速コンコースの売店に向かった。俺はラーメンを、川端はカレーを、桂木は焼きそばを買って、スタンドで夕食を食べることにした。




そして午後6時、試合開始。阪神の先発はプロ初登板の新人・馬場、オリックスの先発は今季初先発の山崎福也だった。試合の方はオリックスが先制するも、6回に阪神が逆転。甲子園はお祭り騒ぎ。しかし、オリックスが8回に逆転し、再びリードを奪う。甲子園は歓喜から一転、溜息に変わった。そしてこの時、吉田正尚が走塁中のアクシデントで交代し、桂木がかなり動揺していた。そして9回、オリックスは抑えの増井が登板した。しかし、先頭の糸井にホームランが飛び出し、阪神は同点に追いついた。甲子園は狂喜乱舞。そしてこのままサヨナラかと思われたが、試合はそのまま延長12回引き分けに終わった。




俺は試合後、「12回までやってもまだ10時過ぎか」と小言を漏らした。そして、このまま3人で帰路についた。桂木は「勝てんかったのは悔しいけど、交流戦2位は確保したしまあええか」と言っていたが、「しかし、正尚がなぁ・・・」とかなり不安そうな顔をしていた。一方川端は比較的上機嫌。しかし、「馬場の勝ちが消えたのがなぁ・・・」と愚痴をこぼしていた。そして、最寄駅の違う川端が駅で降りた後、俺は桂木にあることを言った。




「そういえば桂木って、川端といつ知り合った?」


「高校。1年の時同じクラスやったから」


「そうか、意外だな。俺は幼なじみみたいな関係だと思ってたよ」


「あいつとはただ知り合いなだけ!別に仲ようないし!」


「別に恋愛感情もないんだな?」


「一切ありません」


「そっか。俺は桂木と川端がどんな関係か知りたくてな。悪かったな」


「ええよ、別に・・・」




俺と桂木がそんな話をしている間に、最寄駅に着いた。桂木とはここで別れる。そして駅から5分ほど歩き家に帰宅。そこで朝比奈とかち合った。




「上田くん、どこ行ってたの?」


「野球。甲子園行ってた」


「ふーん・・・贔屓関係ない試合にも行くんだ」


「誘われてな。つーか、お前こそこんな時間からどこ行くんだ?」


「買い物。ただコンビニで買いに行くだけよ」


「そうか。補導されんように気をつけるんだぞ」


「すぐそこだから大丈夫でしょ」




朝比奈は俺と話をすると、そのままエントランスを出て買い物にいった。俺はエレベーターに乗りそのまま帰宅。そして2人の妹から、「お兄ちゃん、こんな時間まで何してたのよ!もしかして彼女?」と言われたのは言うまでもない。

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