野球観戦デート
日曜日。俺は桂木に誘われて、京セラドームに行った。対戦カードはオリックス対横浜DeNA戦。座った席はライト上段の外野席だ。俺はチケットの代金を払おうとしたが、桂木は「ウチが誘ったし、払わんでええよ」と言われた。そしてその代わりなのか、俺は桂木にオリックスのユニフォームを着せられた。・・・って言うか、これ近鉄のユニフォームだぞ。ちなみに中村ノリ。
「結構、客入り多くねぇか?」
「まあ、日曜やしね・・・」
球場に着くや否や、2人は昼食を買うため売店に向かった。日曜日ということもあってか、意外と人が多い。トイレや売店には行列ができていた。そして、俺はスタミナ丼を、桂木はオムライスを購入、席に戻り食事を取った。桂木は他のファンと顔見知りが結構いるのか、「陽菜ちゃん。今日、彼氏連れてきたんか?」などと声をかけられていたが、桂木は「彼氏ちゃいますって!」と顔見知りであろうファンにその都度、言っていたが。
そして午後1時、試合開始。バファローズの先発は田嶋、ベイスターズの先発は今永。この日は日曜日ということもあり、結構観客は多い。一塁側はほとんど埋まっている。そして、一塁側・ライトスタンドはバファローズファンの、三塁側・レフトスタンドはベイスターズファンの声援が凄い。
試合の内容は、オリックス・先発の田嶋が試合を作り、打線も武田のタイムリーで2点を先制する。そして、オリックスが3対1でリードした7回には、4点を追加し、DeNAを突き放す!そして試合はオリックスが勝利。桂木は勝つや否や、他のファンとハイタッチするなどし、大興奮だった。
「よかったな、圧勝で」
「あんたの好きなカープも圧勝みたいやし、お互いWin-Winやね」
「そうだな」
帰りの電車で、俺と桂木はそんな話をしていた。その話をしている間に、桂木の知り合いであるベイスターズファンが乱入してきた。背は160cmくらい、歳は俺と同じくらいの女の子。綺麗に整えられた、長い黒髪と雪のように白い肌が特徴的だ。しっかし、あいつ顔広いな。川端とも知り合いみたいだし。俺は少し、桂木の交友関係が気になった。
「私、陽菜のクラスメイトの
「ん?同じ高校か。俺、1組の
「しかし、関西でベイスターズファンって、珍しくねぇか?」
「私、中学の時、横浜から引っ越してきたから」
「そうか。俺もこの春、広島から引っ越してきたんだわ」
「広島?だったらカープファン?」
「まぁな」
「それより、贔屓関係ない試合見に行くって、まさか陽菜と付き合ってるの?」
「別に付き合ってねぇよ」
「ホントに?」
「うん」
朝比奈が俺にこんなことを言ってきた。桂木も「別に、上田くんとは付き合ってないから!」と否定した。そして京橋駅に着き、3人は揃って降りる。朝比奈も近くに住んでいるらしい。
俺は駅で桂木と別れたが、朝比奈とは家の方向が同じらしく、一緒に歩いていた。
「上田くんって、家どこ?」
「駅から5分くらい歩いたとこ」
「そうなんだ。私も同じくらいかな」
そして5分ほど歩き、自宅マンションに到着した。そして、時を同じくして朝比奈も自宅マンションに到着したようだ。
「朝比奈って、もしかしてここ住んでんのかよ!」
「それは私のセリフよ!上田くんと家が同じマンションでビックリしたわ」
「何階?俺は8階」
「私?5階だけど何か・・・」
「いや、なんでもない」
念のため、お互いの玄関ポストを確認する。5階には「朝比奈」の名札が、そして8階には「上田」と言う名札が書かれていた。
「まさか、同じ家だとは思わなかったわ。もし、学校で会えたら挨拶よろしくね」
「俺もこっち来て2ヶ月だけど、同じ高校の人が住んでるとは思わなかったわ。こちらこそよろしく」
俺と朝比奈はエレベーターに乗り、こう話した。そして5階に着き、朝比奈とここで別れた。エレベーターを出る時、俺に振った朝比奈の笑顔はとても可愛かった。
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