写しの君と、二度目の初恋はしない

 ここは拙作「写しの君と、二度目の初恋はしない」の解説とか、裏話をぶっちゃけます。

 多分にネタバレを含みますので、本作を読み進めていらっしゃる方、もしくはこれから読もうと思っている方は後で読んだほうが楽しめるかもしれません。

 既に読み終えた方はもちろん、途中でもネタバレオッケー!という方はどうぞご覧くださいまし。






































 みなさま「メタクッキー」ってご存知ですか?

 東京大学のVR研究の一つなんですが、VRを付けて行動をすると、実際とは違う感覚になる、という研究結果が出ています。

 たとえば被験者は普通のクッキーを手に持っているけれど、ディスプレイに映し出されたのは普通よりも大きいクッキー、という設定になっています。

 この場合、普通に食べるよりも早く満腹感が訪れて、食べるクッキーの数が少なくなるようです。

 また普通のクッキーをディスプレイではチョコ味のものに変えて、匂いもチョコのフレーバーを嗅がせると、あたかもチョコクッキーを食べているように錯覚するそうです。


 割と大雑把に語ってますので違ってるかもしれない(見ないと思うけど関係者の方が見てたらごめんなさい)

 ということをあしからず…


 そんな話を新聞で読んで、ビビっときました。そもそも人間は薬一つで人格も変わるわけで、自分たちの感覚はいかに脆くて頼りないのだろう、という考えをずっと待ってもいました。

 五感が狂うと認知も変わるって実験は山ほどありますしね。

 そんなわけで、VRの影響力は実は凄いんじゃないかと気づいたわけです。

 強制的に価値観を変えてしまえるかもしれない。

 じゃあ、その影響が極限までいったとき、人はどうなるのだろう?

 もしかするとまったく別人になるんじゃないか?


 というわけで本作の構想を始めました。

 どの切り口でいくか迷ったのですが、たとえばVRで人を変えられるなら、才能と呼ばれる領域も無関係ではないと思ったわけです。

 もちろん万人に才能を与えられるわけではないですのでこれはフィクションですが、可能性としてはあり得る。

 そして本作の「才能を模倣したとき、そこに価値はあるのか?」というテーマが生まれました。


 ここまでかなり小難しいですね、はい。

 なので才能というものに人一倍多感な青春時代の男女をベースにして、恋愛模様と謎をミックスしてみました。

 しかし本作を読んでもらったらわかると思うのですが、テーマ性はあんまり出てない。これは構成の甘さもですが、もう一つのテーマ「恋のエゴ」に引っ張られたせいですな。

 自分で決めたはいいがまー物凄い苦労しまして、予想よりも時間がかかってしまいました汗


 失恋を忘れるために、似ている人に恋して傷跡を埋める。罪悪感も伴うどうしようもない自分本位な気持ちを、おそらく大なり小なりいろんな方々が経過してるんじゃないかなーと思わなくもない。

 そうしたジレンマをSF的展開と絡めて書き始め、うーんうーんと唸り、なんとかどうにか着地点を見出したわけです。


 …えー。最初のテーマはどこいった。

 まぁ結論からいえば模倣は悪ではない、と思うのです。私が大好きなアニメエヴァンゲリオンの監督も言っております。

 自分はコピーのコピーしか生み出せない、と。あらゆる作品に精通してきた監督だからこその限界を感じてたのかもしれません。

 それはショッキングな言葉でしたけど、ご本人はどう思われているかはともかく、自分はそのアニメに強烈な体験をさせてもらって楽しませてもらったわけですから。

 価値がないはずがない。

 たとえ完全なコピーだとしても、やっぱり全て悪だと言い切ることはできない。作品を作る上でも強く思います。

 まぁ周囲への影響とか感情の面は無視した荒っぽい考えなんで、正義でもないですけどねー。これは一つの考え


 よしいい感じに散漫だな!まとまってない!

 キニシナイ!

 色々詰め込んだ結果の難産でしたが、そのぶん思い入れもあります。この物語が誰かの心に刺さると嬉しいです。

 ちょうど新人賞に応募できそうな分量でもありますので、ちょこちょこ応募に使おうと思います。そのときは非公開になってしまいますが、ご理解いただければ幸いです。

 それではまた

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