第2話

 後日、クラス会に集まったメンバーの内二人と会う事になった。ショウコとエイコだ。理由は何てことはない。ただ単に「遊ぼう」だった。この二人はクラス会のあった日、二次会に行ったメンバーだ。


「二次会どうだった?」

 何気なく聞いてみた。二人は一瞬口ごもった。何かあったのか。しばしの沈黙の後、彼女達は語り始めた。ショウコは、高校当時結構仲良くしていた子だ。エイコは、ショウコ程ではないけれど結構お喋りをしていた仲だ。

 先日の二次会の後、何故か小山くんという男子の家に泊まる事になったようだ、ショウコとエイコが。更に何故か、ショウコと小山くんが同じベッドで寝る事になったそうだ。

 小山くんはルックス的に特に目立つ男子では無かったけれど、高校時代の小山くんの彼女遍歴を思い出すと、その展開は納得かも……。結構なイケイケ女子とつきあっていた、私が知っているだけで三人。勿論、期間は被ってはいない。


「私は、変な事になりたくないから、小山に足を向けて寝たの」ショウコは語った。

 電気を消して数分したら、小山くんが迫ってきたそうだ。その内やめるだろうと思って黙っていたが、冗談じゃ済まされないような箇所に小山くんの手が伸びてきたらしく、ヤ・メ・ロー! と叫んだらしい。その後、ショウコはエイコと二人で別の部屋に寝たそうだ。

 変な事というか、最初からエイコと寝れば良かったのでは……と誰もが思う事を胸に引っ込めて話を聞いていた。エイコは、特に色恋に発展するような出来事も無かったようで、少しつまらなそうだった。

                

 二十歳を迎えたらお酒が出る場に参加する機会も増え、職場やライブハウスで出会う人は年齢が様々で、色々な話を聞くようになった。

 自分の車で行きたい所に夜でも行けるようになった。規則ばかりの高校生から自由な社会人になった様な気がしていた。きっと、ショウコとエイコも似たような想いを持っているのだろう。


                  ○●


 ―十年後―

 SNSでたまたま同級生の写真を見つけた。子どもの写真や、友人達との愉しそうな集合写真。誰と何処に行って何を食べた、とコメントをして食べ物と一緒に映る写真を載せている。自分がメインなのか食べ物がメインなのか解らない写真ばかりだ。

 私はSNSに自分の顔写真を載せないようにしている。単純に写真があまり好きではないのと、万が一何処かに流出して悪用されたら嫌だから。

                  ○

 私は未だ独身で、結婚の予感は皆無だ。十年前と同じく、休日はライブハウスに入り浸るような日々を続けている。ファッションは年齢と共に少しずつ変化してきた。日本女子誇りのおかっぱ頭は変わっていないが、スカートをはくようになった。勿論ズボンもはく。

 ライブハウスに行くと、普通に生活していたら得られないような面白い瞬間や大きな感動に立ち会えたりする。ファッションも、自由だ。数ある【好き】の中からバンドを好きになっただけで、こんなに愉しい時間を過ごせるなんて。私は恵まれているなぁと、思う。

 けれどもSNS等で『大勢で愉しそうな』写真を見る度、心の中がチクチクするのは何だろう。

 そういえば一回目のクラス会は、まだ未来への希望や予感があったなー今思うと。いつ、どこで変わってしまったのだろう。


 

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