第13話
ーー眠れない。
ユートはそう思いながら体を起こした。横ではナハト、イビル、ルミアの三人がかわいい寝息をたてている。ユートはは最後の最後までどうにかしようとしたのだがさんにんにむりやりおしきられた。
そんな三人の横で眠れるほどの図太い神経をユートは持ち合わせておらずユートはこのテントから外にはうようにして外にでた。
そして……
「なんだあれは」
外にでたユートはあるものを見つけ思わず口に出して呟いた。この世界には当然電柱などはなく、こんなところに蛍のようなものはいないはずだ。しかし、ユート見ている先には小さな光が無数に光っていた。それは夜の闇夜から獲物を狙っている獣のようであった。
ユートはまだ起きているであろうクレイドとチャットをつないだ。
「どうしましたか? こんな時間に」
ユートがチャットを鳴らしてすぐクレイドが話しかけてきた。
「ちょっと外に出てくれ」
ユートはクレイドにそう伝えた。するとすぐにクレイドがユートの元までやってきて目の前の異様なものを目撃した。
「なんでしょうこの光は」
「分からない」
二人はこのままじっとしているわけにも行かないのでクレイドが空中に光の玉を作り出した。そして目の前の光の集まりが照らされた。
「うそだろ……」
「はぁ、めんどくさいことになりましたね」
目の前の光の玉の集まりは蛍の様なかわいらしいものではなかった。
「メシ……メシ……」
それは何千、何万と集まった
「早く皆を起こさないと」
ユートは慌ててクレイドに言った。
「その必要は無いですよ」
クレイドはそう言って指差した。ユートはその指の先を見るとそこにはかなり薄いが赤い線が引かれていた。そして二人が見ている先で
「どうしたどうした!?」
「何かが引っかかった?」
大きな音が鳴り響いた後、寝ていた人たちがおきだして来た。そして光の集まりを見てクレイドとユートの周りに集まってきた。
「なんやのあれ?」
ティーナが二人にそう問いかけた。それを聞いたクレイドはさっきと同じように光の玉を作り出して全体を照らし出した。
「なにあれ~いっぱいいるよ~」
「たくさぁ……」
「あれは
という軽い声が横から聞こえた。
テントで寝ていた三人も起きてきたようだ。
「どうしましょうか」
ユートはティーナに聞いた。冒険者には帰還呪文で自分達の町には帰ることが出来る。今からすぐに荷物を片付けて帰る事も出来る。しかし……
「この魔物たち私達が行った町に向かっています! 何とかしないと!」
そう言う一言で皆の気持ちは決まった。まあもともと皆帰る気はなかったのだが……
「では、私はルミアと町の人の避難誘導に行きます」
クレイドはユートに向かってそういった。そしてルミアにお姫様だっこをし、町へ走って向かった。
「イビル、二体ほど町に向かわしてくれないか」
ユートはクレイドを信用していないわけではいが、万が一があるためにイビルに頼んだ。
「おけぇ……
イビルがそういうと地面の下から後ろに袋を持った男と手にステッキを持ちシルクハットをかぶった男が現れ、クレイドの後ろを追いかけて行った。
ーーこれで大丈夫だろう。
ユートはそう思いながら武具を装備し終えた。そして同じように横で武具を装備し終えたエウロパに合図をした。
「じゃあいっくよ~イクスブラスター!」
エウロパはそう言って
グギャァァァ!!
という叫び声がして
「ヘイトコネクト!」
ユートはスキルを使用した。このスキルを使用したため
――さすがに多いな。
ユートがそう思っていると、
「
というティーナの声が聞こえ周りに驚くべきほどの冷気が襲い
「ありがとうございます」
ユートはティーナにお礼を言った。ティーナの横には大きな全身真っ白の女性が浮いていた。身長はティーナの二倍ぐらいあるだろう。
「ええよええよ」
ティーナはユートにそう言った後さらに魔法の詠唱をし始めた。
「森からの
ティーナがそう言った後雨が降り始めた。その雨を享けるとどんどんHPとMPが回復していている。しかし
――くそっ
ユートは思わず心の中で悪態を呟いた。それも仕方ない。ユートはもうすでに一時間ほど前線にたって
「ギルマスゥ大丈夫?」
そんなユートを見かねてかナハトがユートに話しかけてきた。自分よりもつらいはずなのに全くそんな様子を見せないところはナハトなりのやさしさだろう。
「たすけぇ……」
そんな二人の下にイビルがやってきた。助けてと入っているがそこまで大きな傷は負っていない。
「三恐……」
その一言でユートは何を言っているのか理解した。おそらくイビルは三恐を召喚したいのだが詠唱には長い時間が掛かるため時間を保ってくれということだろう。
「分かった」
「ありぃ」
そう言ってイビルは魔法の詠唱を始めた。
――ここら辺なら大丈夫っすかね
エウロパは森の中で巻物を広げていた。それはユートが使っていたのと同じ
「起動」
エウロパのその一声で黒い玉の向こうの何かが起動した。そして黒い玉のほうからこちらへ向かって何かが歩いてきていた。
「いけぇ」
イビルは二人に向かってそう言った。
「分かった」
「りょうか~い」
それを聞いた二人は少しイビルから離れた。そしてそれを確認したイビルは持っていた杖を地面に突き刺した。
「悪魔の
イビルがそう言うと大きな門が現れた。門には禍々しい絵が記されている。そしてその門が開いた。
「オヨビデスカ、イビル様」
「グガァァァ」
「ほぅ、朽ちそうな魔物が沢山いるな」
その中からは
「ゴメイレイヲ」
「あいつ……倒す」
イビルは三体に向かって言った。そして命令を聞いた三体は
――これで少しは楽になるだろう。
ユートが心の中でほっとしたのもつかの間森の中から大きな物体が気をなぎ倒してこちらに向かって来た。それは前エウロパ達と倒した殺戮兵器だった。上にはエウロパが乗っている。そしてユートの前まで着て止まった。
「
エウロパがそう言うと三恐の後を追いかけるように
「あれどうしたんだ?」
ユートはエウロパにそうたずねた。
「あれね、頑張って直したの」
エウロパは軽そうな口ぶりで言った。
――直したって……
ユートは何を言えばいいかすら分からなくなったため、目線を海岸線に向けた。そこでは三恐と殺戮兵器が
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