第5話
ユートとナハトは、次に狙われるであろう村へと向かっていた。大人数で行動すると人攫いたちに発見される恐れがあるため、今回は二人しかいない。
「ギルマスゥ本当にあの村であってんの?」
そう言ってナハトはユートに話しかけ、指を指した。そこには夜の闇の中でろうそくの火のように小さく光る村があった。
「ああ、あっている……と思う。そこだけがまだ何も起こっていないし」
あの村は、周りの村で人攫いの被害にあっているにもかかわらず、いまだに被害を受けていない。あ一度襲われた村には警備がついているので次に狙われるとしたらあの村しかない。これはユートが国王から聞いて判断したものだ。しかし、当たるという保証はない
ユート達は、村から少し離れた所で
「さて、始めようか」
「りょうか~い」
ナハトは返事をして、サブ職業の
「久しぶり~ハナトちゃん」
ナハトそう言ってハナトに抱きつき頭をなで始めた。
ハナトとは、サブ職業の
「ナハト、そろそろ撫でるのを終わらせて、始めて」
「え~こっちで呼び出すの初めてだから、もうちょっと遊ばせようよ~」
ーーどうしようか。
「わかった。また皆でどこか行こう。それにハナトもこんな暗いところじゃ楽しく無いだろ」
「それもそうだね。じゃあ
ナハトがそういうと、ハナトがうねうねと変化してナハトと同じ姿になった。そして、関節の動きを確認するかのように、身体を動かしていた。
ーーうわぁ、相変わらずそっくりだな
ユートはそう思い、ハナトの頭をなでた。髪の感触まで本物そっくりになっている。
「ギルマス、皆で遊びに行くの約束だからね」
「ああ」
「じゃあ、ハナトちゃん。悪いけど村の外でうろうろしといてね」
ナハトがそう言うと、ハナトは、ナハトが言ったことを実行し始めた。見ていると何かいけないことをさせている気がしてきて、思わず目をそらした。
「それにしてもギルマスゥ、こんなんで引っかかるのかな? 人攫い達」
ずっと目線をハナトに向けたナハトが、ユートに言った。そんなことはユートが知りたい。
「うーん 攫ってるのは主に
ユートはナハトにそう答え、国王の話を思い出した。基本的なゲームでは
ユートが国王から聞いた話では、子供を攫っているのは
「ふーん、そうなんだ」
ナハトが興味をなくしたような口調で返事をした。ユートもこれ以上ここに居てもしょうがないと思い、ナハトに話し掛けた。
「じゃあ、城に戻ろうか」
そう言って、
「ギルマス…おかぁ……」
「イビルはお帰りって言ってるゼ」
「ギルマスお帰りなさい」
ユートとナハトが城の自分達の部屋に帰るとリヒスとイビルが寝ずに待っていてくれていた。
「たっだいま~」
ナハトは二人にそう挨拶しベッドにダイブした。そして、ベッドの上でころころ転がった。
「二人ともただいま」
そう言ってユートはいすに腰掛け目を閉じた。
ーー疲れた。
ユートはそう思ってうとうとし始めた。しかし残念なことに、すぐに寝てはいけないと思いなおし、目を覚ました。横では、イビルが眠そうに目を擦っている。
「もう寝たら?」
ユートは、大あくびをしているイビルに向かって言った。
「寝るぅ……」
そう言ってイビルは、ベッドに入ってかわいい寝息をたて始めた。
「すいませんが、私も」
そう言ってリヒスも自分のベッドに入った。
「おやすみ」
ユートは二人に向かってそう言った。が二人はすでに聞いていない。
もう、次の日になりかけている。
そして、部屋で起きているのはナハトとユートだけになった。城の中にはすでに明かりはなく明かりがついているのはこの部屋だけだろう。
「どうだ? 反応あったか?」
ユートは、ナハトにそう問いかけた。ーースキル
「んー? まだかな」
「そうか」
ユートは残念だったが、少し休もうと思って目を閉じた。しかし、
「来た!」
ナハト急にそう言うので、思わず跳ね起きた。すでに目はさえた。
「よし! 今どうなってる?」
ユートはナハトにそう問いかけた。ナハトの目は視覚を共有しているためか青白く光っている。
森の中に大きな足音がこだましている。ハナトは今、米俵のように運ばれていた。目は青白く光って周りを見渡している。
そして、十分近く森の中を進んだ頃、大きな洞窟についた。中からは嫌な空気が流れてきている。
入り口には
そして、ハナトがその子供達を観察していると扉が開き男が入ってきた。
「十一人目」
そう言う男をハナトは青白い目で見上げていた。
ユート達は今、
「どうだ? 見えたか?」
ユートは、
「うーん、もう少し東かな」
ナハトがそう言うと
その後五分程たった頃
「見つけた!」
ナハトがそう大声で叫んだ。
「じゃあ、行こうか」
四人は人攫いのアジトである洞窟の近く森の中で朽ちた
「さて、イビル
「わかぁ……」
イビルがそう言うと地面から水色のスライムが出て来て岩をすり抜け子供たちの元へと向かっていった。
ーー
「さて、行くか」
「はーい」
「行くぅ……」
「早く、助けないと」
そして、洞窟の前に着いた。もちろん洞窟の前には
「おい、お前たちどこ……」
そう喋った
「油断大敵だねー」
ナハトはそう言って剣をしまった。そして、何事も無かったかのようにユート達は洞窟に入っていった。すぐに、
ユート達が広場に着くと、そこにはガイドと10体ほどの
「ようこそ、この洞窟へ。だが! 生きて返すわけには行かねえ! 行け
ガイドがそういうとユート達に向かって
「メアリーウィンド……」
イビルが間髪入れずにスキルを発動し、赤黒い風が吹いた。すると、
ガイドは、驚愕して目を見開いた。そして全力で笛を吹いた。そうすると、ユート達の後ろから、どこからともなく
ーー多い!
イビルの技は
「ヘイトコネクト!」
ユートがそう言うとすべての
そして、ユート達が
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