第38話 イミテーション ガール
僕は階段を上がって女子たちを自分の部屋に案内した。
「今、片付けるから、適当に座って」
僕は男子たちのコップを持って一階に下りると、仲川さんが後をついてきた。
「私も手伝うよ」
男子も女子も四人くらいいると、一人は気の利く子がいるんだな。
「ありがとう」
僕と仲川さんは手分けをして、二階にジュースを運んだ。
すると、階段を先に上る仲川さんのスカートの中が見えた。
綿の普通のショーツだ、見せパンとかは穿かないんだ…あれは結構暑いからね…。
でも、階段を上って行くところを下から見ると結構エロいんだな…僕も前田にこんな感じで見られていたんだ。
僕たちが部屋に入ると、女子たちは本当に適当に座っていた。
みんな緊張感がないな…中学の頃に何人かの女の子をこの部屋に入れたけど、みんな緊張していたのに…。
やはり、僕は彼女たちにとって異性ではないんだ。
うわっ、皆のパンツがチラチラ見えてる…。
「ねえ!美花音ちゃんってエロいパンツ穿いてるんだね!」
あっ、人の事を言えなかった…僕のパンツも丸見えだった…。
「学校にも、そんなパンツを穿いて行ってるの?」
「まさか!学校では見せパンを穿いてるよ」
「嘘だ、だってさっきの男子たちの前でも同じ格好だったんでしょ?」
「うん…」
「宮崎って人、玄関で美花音ちゃんのパンツを覗いてたよ!こんな感じで!」
中谷さんはそう言いながら、僕のスカートの中を覗いてきた…。
そんな事をしてたのか…宮崎…。
「ちょっと!やめてよ!」
僕は手でお尻を隠しながら、勉強机の椅子に座った。
「…で、さっきの男たちとは、どういう関係?」
「さっき言った通り、同じクラスの同級生だよ、手術で学校を休んでいたからノートを持って来てくれたんだ」
「へー、本当にそれだけ?あの前田君っていうイケメン、美花音ちゃんの事が好きみたいだったけど」
やっぱり、そうなのかな…。
「そんな事ないよ」
「でも、いいなあー、男子校に通ってるんでしょ?選り取り見取りじゃん!」
「そんな事ないよ」
「ねえ、ねえ、おネエの人ってどうやってエッチするの?やっぱりアナル?」
「私たちが来なかったら、5Pとかする予定だったの?」
「キャー!エロい!」
やっぱりそうか…連絡先を知りたいというのは口実で、実際は僕という珍しい生き物の生態が知りたいだけなんだ…。
「そんな事しないよ…」
下衆な質問をしてくる松原さんと中谷さんに対し、僕は適当に話を合わせる事にした…。
彼女たちは、ニューハーフは簡単に男とセックスをすると思っていた。
僕が男子校の便所で男のチンポを咥えていると思っている。
やっぱり、僕は本物の女ではないんだ…形だけが女でも意味がない…。
イミテーションは本物よりも価値がない…単なるゴミだ。
僕は本物の女の子たちと話をしていて、悲しくなっていた。
少しくらい可愛いからって、僕は調子に乗っていた…。
やっぱり、僕の選んだ性別は間違いだったのかもしれない…。
女子たちが帰ってからも、僕の気持ちは沈んでいた。
すると、中田さんからメッセージが来た。
『今日はごめんね…私と麻由美は違うから…それに、私は美花音ちゃんと同じ側の人間だから』
麻由美?…ああ仲川さんの事か。
そう言えば、中田さんと仲川さんは、松原さんと中谷さんが下衆い話をしていても、愛想笑いをしているだけだった。
中田さんも、松原さんと中谷さんが僕を馬鹿にして楽しんでいると感じていたんだ…。
『気にしてないよ♪ でも、同じ側の人間って?』
どう言う意味だろう…。
『私、レズなんだ』
えっ!凄く女らしいのに?…それは、関係ないか…でも、何となく分かる…小嶋先輩よりも、僕は中田さんの方にシンパシーを感じる。
彼女は僕と同じ「性別の谷間」にいる人だ…。
『そうなんだ…お互い辛いね』
『うん』
中田さんからは、僕に嘘をついて馬鹿にする感じはしなかった。
短いメッセージのやり取りだけど、僕は中田さんと一万字の会話に匹敵する理解を得られた気分になった。
中田さんは、中二の時に同じクラスだった子だ…でも、会話をした記憶がない。
今思い返せば、彼女は普通の女子とは違っていた。
思い上がった言い方だが、僕に興味のない子だった。
普通の女子は、僕が近くに行くだけで、何らかのリアクションをとったのに、彼女だけはノーリアクションだった。
そうだ、僕は中田さんの事が気になっていたんだ…彼女の事をずっと見ていた…好きだったのかな…。
でも、そんな子が何故、僕の家に来たのだろう?
すると、今度は仲川さんからメッセージが来た。
『今日はごめんなさい…本当は菜摘と二人で行く予定だったけど、変な二人を連れて行って…』
菜摘とは、中田菜摘の事だ。
仲川麻由美…彼女の事はよく覚えている。
彼女は何度となく僕に告白をしてきた子だ…最初は小三の頃だった。
当時の僕は女の子と付き合うという概念がなかったので、彼女を友達の一人として接していた。
そうだ!仲川さんは、その頃この家に来た事があった。
それで、母を知っていたんだ。
確か…従姉妹の晴香と一緒に三人で遊んだ事があった…思い出した!彼女の事を「まゆゆ」って呼んでいた。
懐かしいな…三人でアイドルの振り真似をしてた。
しかし、小学生の高学年になると、自然と疎遠になり、中学生になると彼女は何度となく僕に告白をしてきた。
僕はその都度、彼女の告白を冗談として受け流した。
当時の僕は、この方法が相手を傷つけない最良の断り方だと思っていた。
『気にしていないよ♪ ありがとう』
『お詫びをしたいので、明日会えませんか?』
えっ、どういう事だろう?
僕の体は女性化しているから、今更、告白してくる事はないと思うけど…。
念の為に予防線を張っておくか…。
『今のところ予定はないから、中田さんと3人で遊ぼうか』
『うん♪ 菜摘に連絡してみる』
そして、直ぐに僕たち三人だけのLINEグループが作られ、明日の予定が決定した。
なんか、仲川さんを利用して、中田さんと会うみたいで気が引ける。
んっ、クラスの裏グループLINEが動いている…。
裏グループと言っても、先生や学校関係者がいない生徒だけのグループで、入学したばかりの頃に作ったものだが、今は全く稼働していなかった。
僕は、家族や今作った中田さんと仲川とのグループ以外は全て「通知オフ」に設定していた。
クラスの裏グループのカウンターが凄い勢いで増えていた。
僕が入室してみると、男子たちは女の話題で盛り上がっていた。
どうやら、誰かがエロい写真を入手したようだ…どうせアイドルのパンチラとかだろう…幼稚だ。
僕がトークを遡ってみると、そこには僕の写真が貼られていた!
いつ撮ったんだ!今、着ている服だ!後ろ姿が多いけど、胸元のアップやパンチラの写真もある…。
『何してるの!』
僕がコメントをすると、クラスメイトたちが次々と退会していった…。
どうやら、男子たちは僕がグループにいる事を忘れていたようだ…バカか。
うーん、写真のアングルからすると犯人は…宮崎か!
でも、写真を撮られた記憶がない…あっ!動画もアップされてる!
そうか!宮崎は僕の家に入った時から、ずっと動画を撮影し続けていたんだ!
うわ!引出しに入った下着の写真まである…僕が玄関まで行った時にクローゼットを開けて撮ったんだ。
男子たちは、横を向いた僕の写真を見て、胸元の隙間から見えている物が、乳首かどうかを議論したり、僕の股間に黒く写っている物が、陰毛かレースかで揉めていた。
正解は乳首とレースだ…はあ…。
うっ、制服の写真もある…と言う事は、四日前からここは稼働していたんだ。
でも、後ろから見ると僕は女にしか見えないな…勿論、前から見ても女だけど…。
すると、前田からメッセージが来た。
『ごめんなさい!』
この状況は、謝るしかないよな…。
更に、クラスメイトたちから、様々な謝罪のスタンプが送られて来た。
まあ、この程度の事なら、どうでもいいけど…。
僕は全員に『なんか奢れ!』と返信した。
すると、田中が明日の日曜日に、ご飯を奢りますと返信してきた。
明日は予定が…いいか!時間を合わせて、中田さんと仲川さんの分も奢らせよう!
僕は明日の集合場所と時間を田中に送った。
しかし、こんな事で盛り上がるなんて、男子は本当に幼稚だ…。
『おっぱいの谷間が凄い!』
『黒の紐パンだ!』
『勝負パンツキターーーーーー』
『これ、ケツの割れ目が透けてるよな!』
『マジ!』
『それより、マンスジがくっきり見えてる!』
『ホンマや!』
何を興奮してるんだよ…読んでいて恥ずかしくなる…顔が熱い…皆が僕を見て興奮してる?…アソコを勃起させてるのかな…。
僕の頭には、コップの乗ったトレイを持っている前田が、僕のスカートの中を見て股間を膨らませていた映像がフラッシュバックしていた…。
僕を見て34人の男子たちがアソコを勃起させてる…皆が僕を犯したがってる?
僕の股間が熱くなってる…んっ…乳首が疼く…ダメ…。
僕の頭の中では、クラスメイト全員が僕をレイプしようとしている映像が浮かんだ。
僕はベッドに仰向けになって、キャミワンピの肩紐を外して胸を揉み、スカートの中に手を入れて自分の割れ目を触っていた。
イヤ…ダメ…あっ…やめて…イヤ…あっ…んんっ…。
体が自分の指の動きに合わせて痙攣する…気持ちいい…体が仰け反る…。
田中が僕を抱き締めながらキスをしてきた…。
ダメ…そこは触らないで…イヤ…何するの…あっ…。
僕の中に田中の勃起したペニスが入って来た!…あっ…気持ちいい!…僕の中で田中の硬くて太いペニスが暴れている!ああっ…いい…もっと…もっと…もっと…。
「ああっ…あんっ…輝!きて…輝!もっと…んっ…ダメ…あっ…いっ…逝く!」
僕は体を仰け反らせた姿勢で逝った…。
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」
体の硬直が解けた…全身から汗が出てる…呼吸が荒い。
あれっ、お尻がヌルヌルする…。
ショーツを脱ぐと、僕のペニスは大陰唇に挟まったままの状態で射精していて、精液が後ろに向かって漏れていた。
うわっ、ショーツが精液まみれだ…。
やっぱり、勃起しなくても逝くんだ…。
でも、何で田中なんだろう…僕は田中輝が女として好きなのか?…彼に抱かれたいの?…あいつは、単なるむっつりスケベなのに?
分からない…僕は中田菜摘が好きなのか、田中輝が好きなのか…女が好きなのか、男が好きなのか…。
あっ、そんな事より、精液の処理をしないと…プレゼントしてもらったショーツが精液まみれだ。
僕は割れ目から萎んだペニスを取り出し、綺麗に拭いてから普通のショーツに履き替えた…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます