第16話 パンチラ!?
他のクラスの男子たちが教室から出て行った。
一気に教室の人口密度が低くなる。
取り合えず、椅子に座ろう…。
えっ、何これ…ミニスカートで椅子に座ると、パンツで直に座る感じになるんだ!
考えてみれば、ミニスカートで椅子に座るのは初めての経験だ。
僕は一度立ち上がり、自分で自分のお尻を撫でて、スカートの後ろをお尻の下に敷くように座り直した。
お尻の半分くらいしかスカートがない…どっちにしても太ももの裏は直に座面に触れるんだ…冬場は冷たいだろうな…あっ!だからクッションなのか!
確かにクッションは女子の必需品だ。
うわっ!座るとスカートがずり上がって太ももが全開になる!
上からでも、パンツが見えそうだ!
ミニスカートは座る事に適していないんだ。
僕はスカートの裾を掴んで、太ももを隠すように広げた。
ダメだ…全然隠せてない…。
うわっ!皆が振り向いて僕の脚を見てる!
昨日は僕の胸しか見てなかったのに、今日は僕の太もも…と言うかパンツを見るのに男子たちは必死だ。
僕の胸は女性と一緒だけど下半身は男だよ!
それに見せパンも穿いてるし…。
まあ、別に見られても平気だけど、何か気になるな。
あっ、先生が来た。
「起立!礼!着席!」
すると僕の後ろの男子たちから、どよめきが起こった。
しまった!お辞儀をするとお尻が見えるんだった!
見られて減る物じゃないけど、何か損した気分だ…。
いや、男は見慣れた物には興奮しなくなる…だから見せ過ぎると僕の女の魅力が減っていくんだ。
中学の頃、友達とエロ動画を検索していて「AV女優のパンチラ集」という題名の動画を発見した事があった。
僕は「こんな動画、誰が見るんだよ」と言って友達と笑った記憶がある。
裸やセックスをしている姿を知っている女性のパンチラに興奮する男は少ないだろう。
僕も、なるべく見られないようにしよう。
おい、宮崎…居眠りしている振りをして、斜め後ろに座る僕の太ももばかり見てるんじゃないよ…。
僕は宮崎の視線の先にある自分の太ももに視線を落とした。
えっ、無意識の内に股が開いてた!
宮崎が見てたのは僕のデルタゾーンだ!
僕は慌てて股を閉じたが、足を揃えて膝同士をくっつける姿勢は疲れる。
エクササイズみたいだ。
膝に意識を集中していなければ、自然と股が開いちゃう…。
どうすれば、力を入れずに膝を閉じる事が出来るんだろう?
僕は座った状態で足の位置を変え、楽に膝を閉じる体勢を探った。
脚を組んでみるか…ダメだ!パンツが丸見えになる!
宮崎!ジロジロ見てくるなよ!
これだ!足を肩幅に開いて、つま先を内側に向けると、力を入れていなくても自然と膝同士がくっつく。
ふー、これで授業に集中出来る…。
長く感じた一時間目の授業が終わった。
「起立!礼!着席!」
しまった!また後ろの男子にお尻を見せちゃった…。
深くお辞儀をするのが癖になってるんだ…気を付けよう。
「ゆきりん!俺が荷物を持つよ」
前田が声を掛けて来た。
あっ、そうか次は生物の授業で移動教室だった。
と言うか、前田まで僕の事を「ゆきりん」って呼ぶんだ。
僕と前田は、昨日まではお互いの事を苗字で呼び捨てにしてたのに、今ではお互いを「前田君」「ゆきりん」と呼ぶようになってしまった。
まあ、いいか、女が男を呼び捨てにするのは、見ていて気持ちの良い物ではないし、前田も僕の事を柏木と呼び捨てにするのに抵抗があるのだろう。
僕は生物の教科書やノートを前田に持ってもらい教室を出た。
廊下は他のクラスの生徒で溢れていた。
お目当ては、勿論、ミニスカートを穿いた僕だ。
僕はエステで磨いた脚を披露しながら、男子たちを引き連れて特別教室までの廊下を練り歩いた。
あっ、ハイソックスがズレてる。
僕は、履き慣れないハイソックスを直していると、後ろから歓声が上がった。
ん?…あっ!後ろからパンツが丸見えだ…。
前屈みの姿勢は要注意だった…女子は、どうやってソックスを直しているんだろう?
「あっ!ごめん…拾ってくれる?」
田中が僕の目の前にシャーペンを落とした。
その手は喰わないよ!
僕はスカートの中が見えないように、上体を起こした姿勢で膝を曲げて屈み、田中のシャーペンを拾ってあげた。
田中は残念そうに僕にお礼を言った。
頭の良いむっつりスケベは、色んな罠を考えるんだな…。
僕たちが校舎を出て渡り廊下に差し掛かると、突然、強い風が吹いて来て僕のスカートを捲り上げた!
「キャッ!」
僕は無意識に女の悲鳴を上げてしまった。
僕が風で暴れるスカートの裾を手で押さえると、ギャラリーから歓声が上がった。
恥ずかしい…スカートが捲れる事も恥ずかしいが、自分の手でお尻や股間を押さえている姿も恥ずかしい。
僕はスカートを押さえながら、小走りで渡り廊下を駆け抜け、無風状態の校舎の中に逃げ込んだ。
忘れていた…この渡り廊下は、校舎同士の配置の関係で風の通り道になっていて、普段から強い風が吹く場所だった。
風で舞い上がった砂が目に入るので、この場所は「風の谷」と呼ばれ、コンタクトをする生徒に恐れられていた。
視力の良い僕は「風の谷」を気にかけていなかったが、これからは僕にとっても怖い場所になってしまった。
しかし、プリーツスカートの風に対する防御力のなさは異常だ。
ここを歩く時は気を付けよう。
やっと特別教室棟に到着した…生物の教室は三階か…エレベーターが欲しいな。
僕が階段を昇り始めると、僕の後ろを歩いていた男子たちが後を追って来ない。
んっ?
僕が振り返ると、男子たちは階段の昇り口で立ち止まり、上を見上げていた。
あっ…そういう事か…。
そんなに僕のパンツが見たいの?
さっき見たばかりなのに…。
まあ、階段の時だけなら見せてもいいか。
僕は男だった時に、階段の前を歩いている女性が、バッグでお尻を隠す仕草が大嫌いだった。
自分が痴漢扱いされているように感じたからだ。
僕は自分の中で、階段のパンチラはセーフというルールを作った。
男に見られる事は恥ずかしい…でも、ドキドキする…気持ちいいかも…。
下着を見られただけで、こんなにドキドキするなら、裸を見られたら、どんな気分になるんだろう?
それに男子たちも嬉しそうにしている。
需要と供給がぴったりと一致している。
でも、僕がパンツを見られて嬉しく思っている事は、男子には気づかれないようにしないと。
きっと、この感覚は女子だけの機密事項で、男子には知られてはいけない事だ。
だから、今もスカートの中を覗かれている事に気づいていない演技をしなければ…。
僕が踊り場を曲がる度に、男子たちはダッシュで階段を駆け昇って来た。
可愛い!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます