第15話 皆の前で、ミニスカート
教室に到着した僕の周りには、嬉しそうな表情をしたクラスメイトたちが集合していた。
皆、それぞれに色んな種類の女子の制服を持っていた。
「本当に持って来たの?」
「勿論!この制服なんか絶対にゆきりんに似合うよ!」
軽く10着以上の女子の制服が集まっていた…中には如何にもコスプレ衣装といった安っぽい物や、どこで入手したのか新品の制服まであった。
「悪いよ、私の為にお金を使わせて…」
「良いんだよ!これは俺がゆきりんに着てもらいたいと思って買ったんだから、俺自身の為でもあるし」
「そう…分かった、サイズが合う服があれば着替えるよ」
「やったー!!」
「でも、今は時間がないから、ホームルームが終わってからね」
「了解!」
クラスメイトたちは、今まで見たことのない嬉しそうな表情をしていた。
クラス中が浮き足立っていたホームルームが終わった。
僕はクラスメイトに制服を運んでもらい、隣の空き教室に入った。
荷物を運んでくれた同級生は、自分たちの教室と全く同じ構造の空き教室を珍しそうに眺めていた。
あっ、そうか…この教室は、彼らにとって男子禁制の女子更衣室になっていたんだ…。
「今から着替えるから…」
僕は熱心に女子更衣室の探索をしている男子たちにそう言った。
「おっ…おう…」
制服を運んでくれた男子たちは、僕の着替えが見られない事を知り、残念そうに更衣室から出て行った。
即席の女子更衣室の中で、僕は集まった制服の選別作業に入った。
うーん…まともな制服がないな…。
誰だよ!スクール水着なんか持って来た奴は!
はあ…こんな水着、今時の女子高生は着ないよ…まして、普通の授業を水着姿で受ける訳がない…。
僕はレトロな昭和風のスクール水着を手に取ってため息をついた。
生地が分厚い…水に濡れたら体に張り付いて、乳首や股間の形が露わになるんだろうな…エロい水着だ。
今の女子の水着は、競泳用の水着を経て、タンクトップとハーフパンツの組み合わせのセパレート水着に進化していた。
やっぱり、スクール水着とブルマーは男の大好物のようだ。
あっ、これは良いかも…クリーニングの袋に包まれてるし、保存状態も良さそうだ。
うん、綺麗だ…変な匂いもしないし、シミもない…夏服だし…サイズもイケそう。
僕は着てきた洋服を脱いで、白い半袖のブラウスに袖を通した。
胸周りの余裕がないけど、ボタンが弾けそうな状態でもない…でも、やっぱりブラが透けてる…。
まあ、透けたブラくらい見られても構わないけど…。
へえ、胸のリボンはクリップで留めるタイプなんだ。
問題はスカート…やっぱり少し緩いかな…。
僕の胸やお尻は、分かりやすく女性化していたが、ウエストも女らしく括れていて、女性から羨ましがられる程に女性的な部分だった。
ウエストのアジャスターを目一杯詰めて…うん、ぴったり…プリーツの幅もおかしくなってない。
僕は穿いていたスカートの中に手を入れて、スカートにインしたブラウスの裾を引っ張り皺を直した。
これは、ズボンでは出来ない芸当だ。
僕は窓のカーテンを開き、窓ガラスを鏡にして、制服姿を確認した。
オーソドックスで特徴のない制服だけど、ザ・女子高生って感じだ。
悪くない…可愛いかも…脚が長く見える…運動部の女子みたいな印象だ。
でも、スカートが短い…多分、短いスカートが流行っていた時代の制服なのだろう…袖口が大きく開いてる、これじゃあ腕を上げたら…脇の下とかブラが丸見えだ…でも、ブラぐらい見えてもいいか…問題はスカート丈だ。
うわっ、軽くお辞儀をしただけで、スカートの中が見えそうだ…どうしよう…。
そうだ、持って来た見せパンをガードルの上から穿けば良いんだ!
僕はガードルの上に見せパンを重ね穿きして、前屈みになり窓ガラスに映った後ろ姿を確認した。
やっぱり、パンツが少し見える…でも、見せパンだからいいか。
へえ、ソックスまであるんだ…新品だ…わざわざ買ってくれたのかな…せっかくだから履くか。
うん!可愛い!完璧!
この格好を皆に見られるのか…恥ずかしいけど、少し嬉しいかも…ドキドキする。
「ねえ!まだー!」
廊下が騒がしくなってきた…でも、こういうのは、焦らした方がいいから、他の制服をロッカーに仕舞ってから出ていこう。
えっ、ブルマーがある!
て言うか、水着のビキニパンツかな?
違う、同じ色のタンクトップがあるから、これは陸上部のユニホームだ。
せっかく、昨日エステで脚を綺麗にしたから、この制服の反応が良かったら、体育の時に穿こうかな…おっぱいだけじゃなく、僕のお尻のファンもいるみたいだし。
よし!お披露目だ!
僕は少し震える手で扉を開いた。
「どう?」
「うおーー!」
廊下にいる生徒から地鳴りのような歓声が沸き起こった。
「ゆきりん!凄く似合ってるよ!握手して下さい!」
何だそれ、握手?…まあいいか。
僕は更衣室替わりの教室に施錠をし、廊下に溢れている男子たちと握手をしながら、自分の教室に入った。
何だ!教室の人口密度が異常に高い…100人位いるかも!
僕は人をかき分け自分の席まで進んだ。
「キャッ!」
僕は反射的に女性の悲鳴を上げてしまった。
「誰?お尻を触ったの?次やったら、もうしないよ!」
すると、犯人探しが始まり、それと同時に人が左右に分かれ、僕の席までの道が開けた。
皆、素直で良い子だ。
あれっ、椅子にクッションが敷かれてる。
「姉ちゃんが、女子にはクッションが必需品だって言ってたから、昨日、買ってきたんだ」
「ありがとう!前田君!」
初めて、前田の事を前田君と呼んだ…まあ、その方が女子っぽくっていいか。
僕は照れる前田にお礼の握手をした。
すると、一時間目の始業チャイムが鳴った。
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