2話-②



 イーヴァと共にゲームをメインにした生活を土曜、日曜に渡って送り迎えた月曜の朝。


 俺が制服に着替えてリビングへと降りてきてみれば、既にイーヴァがテレビの前に鎮座していた。


 というか昨日俺が寝る前に見た時と全く変わらない体勢でゲームをプレイしているから、夜通しやっていたに違いない。自称とはいえイーヴァは【神】であるらしいし、その身体は睡眠不要なのだろう。正直心底羨ましい。


「おはようイーヴァ」


「うむ、おはよう」


 俺の言葉に応えるイーヴァ。だがその視線はゲーム画面から一瞬たりとも離れることは無く、俺の方に視線を向けさえしない。もしかしたらコイツ、熱中すると周りが見えなくなるタイプなのだろうか。


 そんなイーヴァの態度に少しばかり不服さを覚えながらも、俺はまあいいか、とその不服さを無かったことにした。少なくとも俺は、コイツが家にやって来てから連日まとわりつかれ、疲弊していたから、こうやっておとなしく適度な距離を持ってもらっていると非常にありがたいのだ。


 リビングに隣接する台所へ移動し、俺はイーヴァの分と自分の分の朝食を準備しはじめる。


 本来ならば【神】を自称するイーヴァに食事は不要だ。本人も「食事をすることに意義は無いのだが」と言ってもいた。


 にもかかわらず俺がイーヴァの分の食事を作る理由は、俺がイーヴァの視線に耐えきれなかったからに他ならない。なにしろイーヴァは、俺が料理をしている時や寝ている時と同じように、食事の最中も俺を凝視しているのだ。見ている本人は良いかもしれないが、見られている俺としてはあまり心地の良い物ではなかった。


 だから俺は、互いに食事をしていれば俺自身凝視されていてもそれほど視線を気にすることは無いだろう……という安直な思いの元、イーヴァの分も含めて食事を作っている。ちなみにそのおかげか、イーヴァの分の食事も準備するようになってから食事中の時だけではあるが、凝視の目に悩まされることは少なくなった。


 それにここ最近では。こうやって誰かの分も作るのも悪くはないとも思ってさえもいる。


「イーヴァ、朝食できたぞ」


 さほど時間のない朝ということもあり、手短に朝食の準備を終えた俺がテーブルの上に自分の分と、イーヴァの分の料理を並べる。だがイーヴァは「うむ」と生返事をするだけで、見向きもしない。


 先ほど無かったことにしたばかりの不服さが再び俺の中で鎌首をもたげはじめたが、それを先ほどと同じように無かったことにする。


 コレで良いんだ。コレで。


 コレが俺の求めたイーヴァとの適切な距離なのだから。今までの生活が、今までの距離が、あまりにも近すぎただけで、コレが本来あるべき他人との距離なのだ。


 イーヴァがプレイしているゲーム画面を眺めながら、俺は一人で朝食を頬張る。


 ちなみに今イーヴァがプレイしているゲームは、やり込み要素の多いアクションRPGゲームだ。最近ではオンラインゲームとして新作も出ているらしいし、連休前にでも手を出してみるのも悪くないかもしれない。


 そういえばこんなクエストもあったなぁ……。と懐かしみながら朝食を食べ終え、食器も洗った俺は、テーブルの上にイーヴァの分の朝食を置いたまま玄関の方へ行く。


「じゃあ俺学校行ってくる。もし、誰か来ても玄関開けンなよ」


 テレビから流れてくるゲーム音楽と共に、「了承した」と言うイーヴァの声が聞こえてくる――。そう信じながら俺は学校へと行くため、家を後にした。






「ッ、ただいまー」


 いつものように、家の扉の前で一旦意気込みを入れてから扉を開いた俺。だがその開いた先に、正座をして俺を待つイーヴァの姿は無かった。


 先日までであれば玄関で俺の帰りを待ち構えていたはずなのに、その姿が無いこと

にいささか拍子抜けした俺はゆっくりと玄関を上がり、リビングへと向かう。そうすればイーヴァが朝と――否、昨日の晩と変わらぬ状態でゲームに勤しんでいた。しかもテーブルの上にはイーヴァの分の朝食が朝置いたままの状態で放置されている。


「ただいま」


「うむ」


 俺への返事をおざなりにするイーヴァ。やはりコイツは熱中すると周りが見えなくなるタイプのようだ。


 まあ、帰って来てから四六時中まとわりつかれているよりずっと良いし、現時点の状態こそ俺が考えていた計画通りの状態だろう。だが、予想以上に上手くいきすぎている気がする。


 否、むしろこの状況はあまり褒められた状態ではないだろう。他人との適切な距離を未だ測りかねている俺でも、それぐらいは流石に分かる。


 俺が考えるイーヴァとの相応しい距離。それは互いにある程度言葉と意思を交わし、それなりの適度な距離で生活することだ。少なくとも以前までのようにべったりとまとわりつかれたり、今のように言葉も意思も交わせなかったりするような極端な距離感は望んでいない。


 ならば俺はどうするべきか。


 一旦自室に戻り荷物を置いた俺は、再びゲーム画面を移しているテレビがあるリビング、並びにそこに隣接するキッチンへと移動する。


 その際も、一瞬足りとて俺に視線を向けてこなかったイーヴァ。そのことに不満を抱きながら、夕飯の支度をする。朝食の時もであったが、久しぶりにイーヴァの居ない状態での調理の方がやはりやり易い。だがどうしてもゲームに集中しているイーヴァの様子が気になってしまっていたらしい。数回、うっかり包丁で指を切ってしまった。


 いつもならこんな初歩的なミスなんてしないのだが、やはりいつもと状況が違うと集中できないようだ。


「イーヴァ、夕飯出来たぞ」


 ごとん、と二人分の料理をテーブルに並べながら、俺は相変わらずゲームに熱中しているイーヴァに声を掛ける。だがやはりイーヴァからの返事は「……了承した」という、生返事だ。


「先に食ってるからな」


「うむ」


 こっちの言葉に碌に返事もしないイーヴァの態度に、不服さどころか苛立ちささえ感じはじめる。だがゲームを勧めたのが俺である手前「一旦止めろ」とも言い出しにくい俺は、朝食の時と同じように一人で食事をする。


 もしかしたらゲームに熱中する子供を持つ母親は、こんな気持ちなのかもしれない。


 俺はそこまでゲームに熱中するタイプではなかったから、実の母親にこんな思いをさせることは無かっただろう。だがアニメや漫画、小説の中でゲームに熱中しすぎている子供を叱る母親の描写は頻繁に見かけるから、知識としては知っている。


 こちらを見ない。返事も碌に返さない。せっかく準備した食事も後回しにする。そんなことをされれば母親でなくとも怒りはするだろうし、現に俺もあまり快く思っていない。


 まあ、俺はイーヴァの母親じゃないから叱ったり、怒ったりすることはしないし、そんな権利もないのだが。もし……、もし仮に俺がイーヴァの母親だったなら、セーブする暇も与えずゲーム機の電源を切って無理やり食事をさせるだろう。母親や俺とて、今日中にやるべきことは多いのだから、こんなところで時間を取られている場合ではないのだ。


 イーヴァという他者の存在が在りながら一人で食事を終えた俺は、食器を洗い終えた後、一人でゆっくりと風呂に入る。いつもなら脱衣所にいるイーヴァと簡単な問答路したりしているのだが、まとわりつかれていない今はその面倒事は無い。


 だがどうにも落ち着かず、早々に風呂から上がった俺は相変わらずリビングでゲームに勤しんでいるイーヴァに声を掛けた。


「おい、イーヴァ風呂だぞ」


「……うむ」


 相変わらずの生返事で、こちらを見ようともしないイーヴァ。ソコに居るのに、俺と視線を合わせてもくれなければ、会話もしてくれない。こんなの、学校での扱いと同じだ。こんなの、居ないのと一緒だ。


 不満や怒りを通り越し、もはや行き場のない切なさがこみあげてきた俺は、歯噛みする。そして、今まで考えていた計画や現状だとかいう甘い考えをかなぐり捨てて、テレビの前に仁王立ちになった。


「イーヴァ! 風呂!」


 テレビ画面に注視していたイーヴァの前。その正面に立った俺は、イーヴァ目がけて指を指す。


「な、ナツヲ。起きていたのか……」


「起きていたのか……。じゃねぇよ! 普通に学校に行って帰ってきて飯も食べて風呂にも入ったわ!」


「そ、そうなのか……まったく気が付かなかった。……ナツヲはステルススキルを持っているのか?」


 予想以上にゲーム脳になっているらしい。つい先日までゲームパッドの使い方はおろか、テレビゲームが何たるかさえ知らなかったというのに。今ではもう『スキル』という単語を使えるほどになっている。


「ンな御託は良いから、今はさっさと風呂に入れ!」


「うむ、了承した」


 こくり、と頷きながらも握っているパッドから手を離そうとしないイーヴァ。そんなイーヴァの細い手から無理矢理ゲームパッドをもぎ取り、上半身に着せていたTシャツも剥ぎ取る。


「な、ナツヲ。その指、どうした?」


 「昨日まで、そんな怪我していなかっただろう!」と、慌てた様子で俺の手を掴んでくるイーヴァ。その金の双眸が見ている先は、俺が夕飯の支度をしている間にうっかり包丁で切ってしまった指先だ。


「ああこれ、料理してた時にうっかり切って……ッて、くすぐってぇ!」


 俺の指に自身の冷たく滑らかな指を滑らせるイーヴァ。その動作にくすぐったさを感じ、身を捩れば「動くな」と冷たい声で制されてしまう。


「ああ、ナツヲ……私のナツヲに傷が……。私に治癒スキルさえあれば、こんな傷すぐに癒してやれるのに……。 ハッ! ナツヲ、きちんと傷口は消毒したか? 指先は膿むとしばらく大変で、ゲーム操作にも支障が――」


 せっかくふさがった傷口が、開いてしまいそうなほど強く俺の指握り込み、俺に詰め寄ってくるイーヴァ。そんなコイツの行動を防ぐように、俺は短く「消毒した」と言い放つ。


「それに、いつ俺がアンタの物になったンだよ! 俺は俺以外の物にはならねぇし、アンタだってそうだろう? だから、今はさっさと風呂に、入れッ!」


 俺の指を掴んでいるイーヴァの手をここぞとばかりに掴み、リビングから風呂場へイーヴァを引きずる。そして未だ湯気が漂う浴室へと押し込めた。


 その後しばらくして浴室内からシャワーの音が聴こえたのを確認した俺は、「やれやれ、」と浴室に隣接する脱衣所の扉を閉める。だが次の瞬間、浴室の扉が開く音が聴こえた。


「ッ、まさか!」


 閉めかけていた脱衣所の扉を開けば、案の定そこにはイーヴァが居た。それも身体をぐっしょりと濡らしたままの状態で。


「む? 入ったぞ?」


「『入ったぞ?』じゃねぇよ! ソレはただ単に浴びただけだ! いつも通り髪の毛と身体を洗って、湯船で二百数えるまで上がってくンな!」


 ワキワキと手を動かし、完全にゲームパッドを握る手付きになっていたイーヴァを再び浴室に叩きこみ、俺は浴室の扉の前に鎮座する。


 これでは先日までのイーヴァと立場が逆になっている気がするが、別に俺はしたくてしているわけではない。ただ、そう……ただ、髪も身体もしっかり洗わずに出てくるイーヴァを見張る為に、やむなくしているだけにすぎない。


 まったく。先日までなら俺が教えた通り、髪も身体もしっかりと洗って湯船にも浸かっていたはずなのに。熱中するものが出来てしまうと、こうも変わってしまうものなのだろうか。


 イーヴァが俺の家に転がり込んできた当初、シャワーは勿論、浴室内の使い方を知らなかったコイツに一から使い方を教えていたことは、記憶にも新しい。


 それを思い出しながら、俺は扉越しに聴こえてくる洗髪音や、身体を洗っている音を耳で拾ってゆく。そして、ちょうど湯船に浸かった音が聞こえたタイミングで、俺は「なぁ、イーヴァ」と浴室内に居るイーヴァに声を掛けた。


「なんだナツヲ」


「……ゲーム、楽しいか?」


「そうだな、『楽しい』な」


 俺と一緒に居る時よりか? と思わず訊ねてしまいそうになるのを堪え、次の言葉を放とうとすれば、中から「ナツヲ。お前が『好き』だと。『楽しい』と、言っていたから。私もお前のその気持ちを享受したいのだ」とイーヴァの声が聞こえてきた。


「単純に『楽しい』という感情を享受するのは簡単だ。だがそれより、その『楽しい』とナツヲが思い、抱いたそれそのモノを詳しく知っていた方が、よりその『楽しい』や『好きだ』という感情の本質を分かることが……できるだろう?」


「そっか、」


 イーヴァがゲームに熱中していたのは、そんな単純なことだったのか。


 俺と一緒に居る時よりもゲームが楽しいわけではなく、むしろイーヴァは俺がゲームを勧める際に言った『楽しい』だとか『好きだ』という感情を理解しようとしたあまり、熱中しすぎてしまっただけ。


 だからと言って、俺が準備した食事に碌に手も付けず、返事も適当だったことは良くないと思う。――が、それでも嬉しいと俺は思ってしまった。


 誰かが俺の好きな物を、一生懸命に理解しようとしてくれている。


 誰かが俺の好きな物に、興味を示してくれている。


 好きな物を理解しようとしてくれた人も居なければ、好きな物に興味も示してくれる人も居なかった俺にとって、たったそれだけのことでさえ、ひどく嬉しいと思ってしまったのだ。


 少なくとも両親は俺を否定することはなかったけれど、遊びや好きなモノに関してはあまり興味が無かったと思う。それに二人とも仕事も忙しく、あまり一緒に遊んでもらったりした記憶はほとんどない。


 だから、友達さえ居ない俺にとって、イーヴァが初めて俺の好きなものを、好きになろうと……興味を示し、熱中してくれさえした『誰か』なのだ。


 喜びの気持ちを抱いた自分の表情が緩んでしまっているのを自覚しながら、再び俺は「そっか、」と呟く。


「それに、テレビ画面越しの人々やキャラクターからは意思が読めないからな」


「どういうことだ?」


「人間の願いや望みで存在している私は、少なからず人間の意図を汲めてしまう。だが映像や記憶媒体としての彼らには意図や意思は無い」


 うすうすイーヴァには心や気持ちが伝わってしまっているんだろうな……、とは思っていたが、やはりそうだったらしい。


 ……ということは俺が今考えていることや、俺がイーヴァにまとわりつかれて疲弊していた時の気持ちや、イーヴァにゲームを勧めた時の気持ちも筒抜けで、バレバレだったのだろうか? それはそれであまりよろしくない気もするが……、というより、疲弊していたのも伝わっていたとしたなら、少しぐらい気を遣って離れたりしてくれればよかったものを……。


 喜びの気持ちもつかの間、少しばかりイーヴァの対応に不服さを抱く俺。だがそんな俺の気持ちに応えるつもりはないのか「だからな、ナツヲ」とイーヴァは言葉を続ける。


「私にとって彼らは『新鮮』なのだ。意図もなければ意思も、感情も、願いさえもない。それ故に、そんな彼らとコミュニケーションを取って連携をしたりするのは難しい。だが、その難しさもまた私には『新鮮』であり、なにより――」


「なにより?」


「モンスターや相手を倒した時の『爽快感』や、倒した際に入手できるアイテムの中にレアな物が入っている時や武器制作に必要な素材が揃った時に感じられる『高揚感』が忘れがたい」


 「おそらくナツヲもその爽快感や高揚感が発端で『好き』に至ったのだろう?」と畳み掛ける。


「……おう、そうだよ」


 イーヴァの言う通り現実では味わうことの出来ない爽快感や、高揚感が好きだとい

うのも間違いではないし、ものすごく頷ける。だが、やはり――俺が俺の為にイーヴァにゲームを勧めたとはいえ、ハマりすぎに対してだけは忠告しておくべきだろう。


「ただまあ、熱中するのもほどほどにしろよ」

「……ふむ。ナツヲがそう言うのであれば……、そう……しよう……」


 扉越しにイーヴァの不服気な声が響いてくる。顔が見える状態であれば、おそらく悲しげな、あるいは不満げな顔をしているに違いない。


「……ところでナツヲ。もう二百は過ぎたか? 過ぎたのなら上がってゲームがしたいのだが」


 熱中するのもほどほどにしろよ、と言ったばかりであるというのにこの発言とはこれいかに。


 だがまあ、俺が楽しんでいた物、好きな物を自分も分かりたいのだというイーヴァの真意を知ることが出来た俺は、我ながら甘いな、と思いながら「今日は過ぎたことにしてやる」と言った。――その直後、ザバッと勢いよく湯船からイーヴァが上がる音が聞こえ、俺の前にある浴室と脱衣所を隔てていた扉が勢いよく開いた。


「ならば、対戦をするぞナツヲ。今はお前も居るからな、先日プレイしていた格闘ゲームの続きだ」


 意気揚々とそう言い、眼下の俺の見てくるイーヴァ。勿論、風呂から上がりたての刺青混じりの白い身体からはぽたぽたと雫が零れ落ちており、足元に敷かれているマットをぐっしょりと濡らしている。


「その前に、身体と髪の毛ちゃんと拭けよ。じゃねぇと、ゲーム機壊れるぞ」


 「よっこいせ」と声を上げて立ち上がり、既にゲームパッドを握る手付きになっていたイーヴァの手にタオルを乗せる。


「ふむ、そうなのか? ならばすぐに拭くとしよう」


 いそいそ、と俺から渡されたタオルで身体を拭きはじめたイーヴァ。そんなコイツを手助けするように俺もまたタオルを持ち、イーヴァの髪を拭いてやる。


「ナツヲ?」


「俺もお前と一緒に楽しみたいからな、手伝ってやる」


「……、そ、そうか……。そうか、うむ」


 いつものイーヴァであればまっすぐ俺の瞳を見据えてきそうなものなのだが、突発

的な俺の行動に戸惑っているのだろう。イーヴァは俺の方に視線を向けたものの、すぐに逸らしてしまう。


「なに、照れてンのか?」


「そういうわけではない……はずなのだが、……そう、なのか?」


 自分自身の感情をうまく理解できていないのだろうか。俺の手で無造作に髪を拭かれているイーヴァがもごもごとそう訊ね返してきたのを聞いた俺は、小さく笑う。


「さあな。でもほら、髪もだいたい乾いたし。さっさと服着てゲームするぞ!」


 ある程度髪を拭き終え、身体の水滴もほとんど拭き取ったイーヴァの白い身体。それを改めて確認した俺は、真新しいTシャツをイーヴァに着せる。


「ナツヲ」


「なんだ?」


「私は今日こそお前に勝ってみせるからな」


「ふは、やれるもンならやってみろ! 今日は手加減なしでやってやるからな」


 そんな軽口を言い合いながらリビングへと移動し、初日からプレイしていた格闘ゲームのソフトをゲーム機本体に読み込ませる。そして互いにゲームパッドを握り、顔を見合わせた。


 うん、やっぱり誰かと一緒に何かを楽しむのは、嬉しい、な。




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