2話 最近同居しはじめた自称【神】が、ゲームにハマっている件について!
2話-①
ここ最近帰宅途中に魔なるモノに追いかけられ続けていた俺は、久しぶりに少し寄り道をしてから家へと――否、家の玄関の前へと帰って来ていた。
「ッ、よし!」
本来ならば開けるために、意気込みなど入れる必要のない自宅の扉。その扉を勢いよく開けば、そこには正座をするイーヴァの姿が在った。
「た、ただいまイーヴァ」
「おかえりナツヲ、今日はずいぶんと遅かったな」
「ずいぶんと」と、言われるほど遅く帰って来たつもりはないのだが、いつも寄り道をしない俺の帰宅時間としては十分遅い時間なのかもしれない。いやそれでも「ずいぶんと」なんて言われるほどではないはずだ。
玄関で靴を脱いで家の廊下へと上がれば、俺を待ち構えていたイーヴァが宙に浮かび、俺の肩口に自身の身体をすり寄せてくる。
ちなみに出会った時点で既に全裸であったイーヴァには、服を着るという概念が無いらしい。今は半ば無理矢理俺の部屋着を着せてはいるが、下半身のズボンは「不要だ」の一言で拒絶されてしまっている為、結局のところイーヴァが着ているのはよれたTシャツ一枚だけだ。
「ナツヲ。今日は何からするんだ? 風呂か? 食事か? それとも勉強か?」
「……とりあえず、部屋に行く」
帰宅した俺にべったりとまとわりついてくるイーヴァ。
俺と初めて会った日の翌日こそ、イーヴァは学校へついて来ていた。だがイーヴァ曰く「関係者ではない私が頻繁に学校へ出入りすると『学校は部外者立ち入り禁止』という人間の認知が揺らぎ、ナツヲを不要な危険に巻き込んでしまう恐れがあるため、緊急事態や危険な時以外は学校へは立ち入るつもりはない」とのことにより、今は家で留守番をしている。
そしてそれ故に今まで通り一人で登校することになる俺に、自身の代用品として『お守り』――具体的に言うのであれば、イーヴァが攻撃手段として用いていたあのクリスタル型の杭を小さくし、ウォレットチェーンのように連ねた代物――を、渡されているため、登下校の最中に魔なるモノにイタズラをされるということは今のところ起きていない。
「どうだナツヲ、学校は『楽しい』か?」
「……普通」
「なるほど、普通か」
素っ気のない俺の答えを反芻し、イーヴァは改めて「なるほど」と頷く。
そんなイーヴァを肩口にくっつかせながら二階へと上がった俺は、自室の扉を開けて教科書などの入った鞄をベッドに放り投げた。
「……」
「ナツヲ?」
鞄が転がるベッドを前にし、ぼんやりと立ち尽くす俺。そんな俺の顔色を窺うようにイーヴァが俺の目の前を浮遊し、やや不思議そうな顔をしながら顔を覗き込んでくる。
「ナツヲ、どうした? 具合が悪いのか?」
しかし、何を言っても動かない俺を案じたのだろう。するり、と刺青混じりの白い腕を俺の頬に手を伸ばしてくるイーヴァ。だが俺は、そんなイーヴァもろともベッドに倒れ込んだ。
「な、ナツヲ? ほんとうに、どうした?」
自称【神】でも慌てることがあるのだろう。俺に押しつぶされるような形で下敷きになっているイーヴァの慌てた声が聞こえてくる。
だが、そんなイーヴァに対して俺が零した言葉は「無理」の一言だった。
――無理。
――マジで無理。
――っていうか精神が病む。
ぐるぐると頭の中で巡る言葉。俺の意思を汲みとっている節があるイーヴァの手前、そんな言葉はあまり思い抱くべきではないだろう。否、そもそも、例え意思を汲みとれなくとも思い抱くべきでないだろう。
だがこればっかりは、仕方がないのだ。
だって家に帰って来てから翌朝学校へ行くまでの家に居る間、ずっとイーヴァは俺に付きまとってくるのだから。
俺が自室で勉強する時は勿論、夕飯を作るためにキッチンへ立つ時もイーヴァは俺から離れることなく俺の肩口に居るのだ。
その上、その際のイーヴァは何も言わない。
俺の料理の手際に着いては勿論のこと、「手伝う」や「邪魔にならないようリビングで待っている」という気遣いの言葉を一言さえ発しないのだ。
おそらくイーヴァには他人への気遣いや、配慮の類の発想が備わっていない……というよりかは、自分が俺の邪魔になっているという発想が無いのだと思う。
実際イーヴァは俺の肩口に顔や身体を乗せて俺の手元を見ていたりするだけであり、決して料理の邪魔をするわけではない。それに異物感は多少あれど、重みもほとんど感じないレベルだ。
だが、例え大人しく俺を見守っているだけであったとしても、ずっと俺の傍らに居られ、なおかつ見られ続けていると俺が気を遣うし、何より動きにくいのだ。
しかも「リビングで待っていても良いんだぞ?」と遠巻きに邪魔だと伝えても「私は此処に居たいから居るのだ。ナツヲが私の身を案じる必要はない」と拒まれる始末。
そしてその付きまといは勉強中や料理の最中だけでなく、風呂やトイレへ行く時でも行われるのだ。
一応浴室やトイレから「出て行け」と言えばイーヴァは出て行ってはくれる。ただし、ソレは本当に『一応』でしかない。何故ならイーヴァは、トイレや風呂に入るその都度「出て行け」と言わなければイーヴァは必ずついてくるからだ。加えて、例え出て行ったとしても扉の前で待たれる始末で、おちおち腹も下せない。
勿論恥を忍んで「風呂はまだ良いとして、トイレの前で待つのは止めてくれないか」とイーヴァに伝えはした。だが、「お前が腹を下していようと私は気にしない」「むしろお前の世話ならどんなことでもしてやりたい所存だ」と最早理解したくないレベルのことを言われてしまい、結局扉の前で待たれるのが常習化している。
例えイーヴァが良くとも俺の方は全然良くないので、本当に……遠慮してほしい。
もう一つ、更に付け加えるのであれば夜中、不意に目が覚めた時はイーヴァの存在に恐ろしさを俺は感じたのだ。
夜寝る前、ベッドで横たわる俺の枕元の床に正座をし、俺の顔をずっと見てくるイーヴァ。そのことは俺も知っているし、分かっても居た。だが夜中、突然の尿意で目を覚ました時も俺を凝視しているとは思わず、うっかり驚きで漏らしそうになったことがあるのだ。まあ、あくまで漏らしそうになっただけの話でしかないのだが。
だが、あの時俺を凝視していたイーヴァの姿は今でも克明に思い出せる。
なにしろカーテンの隙間から入ってくる微光に照らされたイーヴァの瞳が、瞬きすることなく俺を凝視していたのだから。
正直、その時漏らさなかった俺の膀胱には賞賛を与えたい。
――そんな風に、家に帰って来ればいついかなる時もイーヴァがまとわりついてくる生活を数日……そう、たった数日、されど数日味わわされた俺は、自宅の扉を開く際に意気込みを入れねばならない程ひどく疲弊していた。
どうしてこんなにもイーヴァが俺に執着するのかは、訊いてはいけないような気がして訊けてはいない。
だが、このままでは俺の精神もまずいことになりかねない。というか現段階の時点で結構キているので、早急に何とかしなければイーヴァのことを鬱陶しいと思ってしまいそうなのだ。
せっかく俺と親密に話をしてくれる存在が出来たのだから、俺としては鬱陶しいだとか、嫌いだなどという負の感情を抱きたくない。
勿論、直接的な言葉でイーヴァの行動を拒絶するのも手ではあるだろう。その程度であれば、イーヴァが俺を嫌うことは多分……おそらく、ないはずだ。だが、悲しげな表情はさせてしまうだろう。
そして、俺の方もイーヴァのそんな顔を見たくはない。
俺の精神的な面とイーヴァの性質。その二つを加味したうえで、導き出したこと。それはイーヴァに『自発的に』俺以外の何かへ興味を持ってもらう、ということだった。
勿論、興味を持ったきっかけは俺でも構わない。むしろ俺が興味を持っている、あるいは好んでいる、楽しんでいる物でなければイーヴァは興味を持たないはずだから、自ずとそうなるだろう。――ならば俺は、自分が今まで生きてきた中で一番好きだと思った物を、イーヴァに伝えてみようと思うのだ。
そしての作戦を決行するために、俺は今日、放課後の寄り道でアレを買って来もしたのだから。
「ふむ。久しぶりではあるが、やはりナツヲに甘えてもらうのはなかなかに『心地いい』ものだな。あの頃とは違い髪もしなやかで、指どおりも良好だ。ただ、少し長さが短いのが惜しいが」
俺に押しつぶされるような形でベッドの上に俺もろとも転がるイーヴァ。最初こそ戸惑いを見せていたこの状況に、かなり慣れてきたらしい。わけのわからないことを言いながら俺の頭を撫でてきている。
イーヴァとは先日会ったばかりで、それ以前に会った記憶は俺には無い。もしかしたら俺が覚えていない幼少期の頃にでも会っていたのかもしれないと思い、家にあるアルバムを一通り見てみたがコイツの姿はどの写真にも写ってはいなかった。
「ナツヲ。私は以前にも言ったが、お前が私の事を忘れているのは私がそうなるよう望んだからに他ならない。故に、お前が私との思い出を忘れていることを気に病む必要はない。それに、私はこうやってお前のその愚かしいまでの『優しさ』を享受できているだけで、『幸福』だ」
するり、とイーヴァの細い指先が俺の髪を撫でてくる。ひたり、と頭皮に冷たいその指が触れる度、俺は「やはり」と思う。
――やはり、イーヴァは俺の意思を読み取ることが出来ている。
ソレは即ち、俺が家に帰って来てからイーヴァの懐の中で悶々と考えていた事柄についても、コイツに筒抜けであるということに他ならないだろう。
イーヴァがものすごく邪魔だという思い。そして、俺以外の物に興味を抱いてもらおうという計画。例えその双方が筒抜けであったとしても俺は、計画を実行する。
何故なら俺の思いを知っているにもかかわらず、自身の行動を改めないイーヴァにはそうするしか方法がないから。
そう、言って聞かなければ、行動に移して何かしら対策を取る。ただただ単純で、当たり前の自己防衛だ。
下敷きにしていたイーヴァから降り、俺はおもむろに部屋のクローゼットを開ける。そしてそこに仕舞っていた『ある物』を取り出した。
「ナツヲ、それは何だ?」
俺がクローゼットから取り出した『ある物』に興味を持ったらしい。背後にやって来たイーヴァに良く見えるよう、俺は『ある物』を差し出して見せる。
「テレビゲームだよ」
「てれび、げーむ?」
【神】を自称するイーヴァにとって、ソレは言い慣れない単語であり、聞き慣れない単語でもあったのだろう。そして今、俺が差し出しているゲーム機の本体も、イーヴァにとっては見なれない代物に違いない。
不思議そうに俺が差し出しているゲーム機を不思議そうに眺めるイーヴァに「今時の娯楽品だ」と教えてやる。
だが、たったそれだけの説明でテレビゲームが何たるかなど伝わるわけもなく、相も変わらずイーヴァはゲーム機を不思議そうに見つめている。
そんなイーヴァにゲーム機本体を手渡し、俺はクローゼットに仕舞っていたゲームソフトやゲームパッド、コードなどを取り出し、イーヴァと一緒にテレビの置いてあるリビングへと持ってゆく。
そしてリビングでゲームの支度をし終えた俺は、俺の傍にくっつくようにして居たイーヴァに新品のゲームパッドを渡した。
「……? ナツヲ。私もそのテレビゲーム、とやらをやるのか?」
「ンだよ……やらねぇのか?」
少しばかりぶっきらぼうな口調になってしまったが、どちらかと言うと、今の俺はひどく興奮していると思う。
何せ友達一人いない俺は、今の今まで誰かと一緒にテレビゲームをしたりすることが無かったから。今日、今、この瞬間、誰かと一緒に並んでゲームをするのが初めてなのだ。
ちなみに、一人っ子で両親もゲームに関して疎かった俺の家にはゲームパッドは一台しかなかったため、イーヴァに渡したゲームパッドは今日学校帰りの寄り道で買った新品である。
「ナツヲはコレが好きなのか?」
「は? ああ、好きだよ。ゲームで遊んでると、嫌なことも全部忘れられるし、何より楽しいからな」
「たの、しい……?」
ゲームパッドを持ち上げ、感慨深そうに見ながら呟くイーヴァ。
その表情から察するに、このパッドの何処が楽しいのだろうか? と、考えあぐねているに違いない。
「ま、とりあえず座れよ」
テレビの前に座り、隣のスペースをとんとんと叩けば察したのだろう。イーヴァがそこへ正座する。
今回の目的はイーヴァに俺以外に興味を持ってもらうことだ。
そして、そのためにはイーヴァに付きまとわれている俺に関することが必須。加えて、俺がそれを楽しいと思っていたりすることや、イーヴァと俺が一緒に楽しめるようなものが良い。そう考えた結果、俺の発想はテレビゲームという娯楽にいきついた。
テレビゲームなら高校に入る前まではよく遊んでいたし、高校に入った今も夏休みなんかの時は連日プレイし、やり込んでいる程気に入ってもいる。
だから、俺はその計画を練り――今、こうやって実行している。
上手くイーヴァが興味を持ってくれれば良い。否、例え熱中するほど興味を抱いてくれなくとも、時折俺のゲーム相手になってくれるのであればソレはソレで気晴らしにもなる。
そんな淡い期待も込めて「俺、一緒にゲームをやるヤツ、家族以外だとイーヴァが初めてだな」と呟けば、イーヴァは目を輝かせ「ナツヲが私と一緒に……それも、初めて……!」とゲームパッドを持った手を上下に動かしはじめた。
「なら、まずは説明からだな」
やや興奮気味であるらしいイーヴァを傍らに、俺テレビを点け、ゲーム機の電源ボタンを押す。そうすれば聞き慣れた起動音楽と共に見慣れたゲーム画面が流れてくる。
ちなみに、今回はイーヴァにゲームの操作等を覚えてもらうために格闘ゲームを一緒にする予定だ。
本来ならば時間に急かされず、ゆっくりと説明が出来そうなパズルゲームやテーブルゲームの類が望ましいのだろう。だがキャラクターを操作する格闘ゲームや、やり込み要素の多いアクションRPGゲームを主にやっている俺の手元にはその類のソフトはない。
だがまあ、少なくとも格闘ゲームなら俺と対戦するモードで、俺が攻撃をしなければゆっくり教えてやれるし、俺手ずから操作方法も教えてやれる。加えて、その操作した内容が画面上のキャラクターにすぐ現れて分かりやすい。
よくよく考えてみればパッドと一緒にパズルゲームなんかのソフトも買うべきだったかもしれないな、とも今更ながらに思いもしたが、時すでに遅し。もしイーヴァがゲームに興味を持ってくれたなら、そう言った類のゲームを買ってみるのも良いかもしれない。
「それで、ナツヲ私はどうすれば良い?」
相変わらずゲームパッドを持った手を上下に動かし、目を輝かせているイーヴァ。おそらく俺の呟いた言葉がお気に召しているのだろう。まあ、俺としても誰かと一緒にゲームをする、遊ぶってことはまんざらでもない。むしろこんなに嬉しそうにされていると、イーヴァが邪魔という理由が発端でゲームをやろうと誘っている俺としては、ひどく悪いことをしている気さえしてしまう。
いやまあ、俺の気持ちを知っていながらその行為を改めなかったイーヴァにも非があると言えばそうなのだから、俺ばっかりが悪いわけではないはずだが。
ゲームパッドを振っているイーヴァを一旦落ち着かせ、一通りボタンの説明や操作の説明をしてゆく。その際、画面に映る自身のキャラクターが動いたり、コンボを決めたりしてゆく様を見て「おおー」と声を上げている姿をなんだかかわいいと思ってしまったことは、胸に秘めておこうと思う。まあ、どうせ筒抜けなんだろうけど。
イーヴァに細かな操作方法や技の出し方を教え、CPU相手にしばらくの間イーヴァがその操作に慣れるのを待った後、俺とイーヴァは互いに対戦してみることにした。
「む、ナツヲは上手いな……、一回も倒せない」
唇を僅かに尖らせ、そう言うイーヴァ。
ゲーム初心者だから、ということも多少はあるのだろう。だが、それを指しい引いてもイーヴァの格闘ゲームの操作、もとい、戦闘センスは壊滅的だった。別段俺がめちゃくちゃに強いとか、そう言うわけでは決してない。
俺がガードしている所にわざわざ攻撃を仕掛け、ジャンプをすれば避けられる攻撃を何故か微動だにせず受け止め、挙句の果てには奥義を正反対の方向に放っている始末。せめて当たらなくてもいいから、俺が操作するキャラクターの方向へ打て。
だが、こんな格闘ゲームに向いていないイーヴァを相手にしていても、俺はとても嬉しかった。一人でCPU相手に対戦し続けているのも悪くはなかったが、こうやって誰かと一緒にプレイするは――楽しい。
「何年このゲームやって来たと思ってンだよ。でもイーヴァも初めてにしてはちゃんと技も出せててすげぇじゃン」
「出せてはいるが、あたってねぇけど」とは口にしない。
「む、そうか……」
「ナツヲに褒められるのは、こう……あれだな……」と、僅かに画面から目を逸らしてもごもごと呟くイーヴァ。だが二ラウンド目に突入する音が鳴るや否や、すぐさまその視線を画面へと戻した。
「次はナツヲに勝ってみせる……」
「やれるもンならやってみろ!」
俺も気を取り直して画面を見定め、イーヴァが操作するキャラクターに技を繰り出してゆく。
イーヴァがゲームにハマってくれているのかは正直わからない。だが、今俺はすごく楽しいし、おそらくそれはイーヴァも同じだと思う。
ゲームパッドを握りしめ、テレビ画面を食い入るように見つめる。そして互いの勝利に一喜一憂し、時には大きな声を上げさえもする。そんな俺とイーヴァの金曜はゆっくりと更け、気が付いた頃には既に時計の針が深夜の域を指し示していた。
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