運命の日までの僕は
「あら、SPAくんじゃない。そんなに落ち込んでどうしたの?」
余命宣告を受けて数日、街の中を歩いていると僕に声をかけてくる1人の女性。
「あ、白コンさん」
白コンさんとは『白雪コンプリート!』という大人気音楽ゲームアプリのゲームアプリとしての先輩です。
「僕、7月31日でサービス終了になってしまったんです。大人気原作だから絶対大丈夫だと思ったのに……。ゲームアプリの世界は難しいですね。白コンさんは僕みたいなことにはならないと思いますけど」
全くそんなつもりはなかったのに嫌味のような言葉がこぼれてしまいました。
「そうだったわね……。この世界、どんなゲームが残るのかは誰もわからないからね。例えば、ついこの間だって一般の人が作ったアニマルツリーバトルが大人気になっていたじゃない?逆に同じ動物を題材にしてても、大人気アニメのフィッシュトモダチのゲームは全くダメみたい」
白コンさんはまだ話を続けます。
「私にも悩みはあるわよ。同じコンプリート!シリーズなのにサウザンドコンプリート!、メンズコンプリート!と同じ音楽ゲームを出すなんて父上たちはどう考えているのかしら。さらには、最近サニーコンプリート!なんていう新シリーズも出してくるし」
売れてる先輩でも大変なんだなぁ、ということを実感しました。
「落ち込んでも仕方ないし決まってしまったことには抗えないのよ。今遊んでくれる人のためにあと3ヶ月走り抜きなさい」
白コンさんは僕にアドバイスをくれました。
「はい、頑張ります。あ、僕用事あるのでこの辺りで失礼します」
「SPAくん、じゃあね」
僕は白コンさんへ挨拶をしてその場を立ち去りました。
「あの子、まだあのことを知らされていないのかしら……」
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