第4話

「今度からあいつ呼ぶの、やめるか」


「ああ、それがいいな」


「そうするか」


口々に言い合って、その後もう一度飲みなおしてそれぞれ家路に着いた。



二日後にサークルの集まりがあったが、峰元は顔を出さなかった。


しかし元々あまり顔を出していなかったし、親しい人が一人もいないので、誰も気にはしていなかった。


ただ、その日に事故があった。沖田が階段から落ちて死んだのだ。


その場に居合わせた人によると、まるで見えない誰かに強く押されでもしたかのように大きくバランスを崩すと、頭から勢いよく落ちたのだそうだ。


即死だった。



次の日の話題は、当然沖田一色になった。


「二十歳になったばかりだったのによう」


「いいやつだったな」


「ほんと、かわいそうに」


みなで口々に残念がったが、この日も峰元はその姿を現さなかった。



そして翌日のこと、今度は相場が死んだ。


死因は心臓発作だそうだが、相場の心臓が悪いなんて話は、誰一人聞いたことがなかった。


「おい、中一日で二人目だぜ」


「いったいどうなってるんだ」


「まあ、偶然だとは思うけどね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る