第3話

みなで車に駆け寄り、触ったり眺めたりしていた。


すると沖田が庭に落ちていた石を拾うと、それで車に落書きをし始めた。


「やめろ!」


峰元の声だ。


この時間帯にふさわしくないほどに、鋭く大きな声だった。


「おい、なに偉そうに言ってんだよ」


沖田はそう言って落書きを続行した。


「やめろと言ってるだろう」


「ふん。うるせえよ」


そのうちに俺を含めた全員が、石を拾って車に落書きを始めた。


「やめろ!」


「やめろってば」


「いいからやめろ!」


「もうやめろ!」


峰元が何度も何度も止めていたが、それはみなに無視された。


六人でやりたいだけ落書きをすると、もう落書きが出来るところがないほどの状態となった。


そこで六人の狼藉がやっと止まった。


「おまえたち、ほんとどうなっても知らないからな」


峰元はそう言うと歩き出し、そのまま闇の中に消えた。


「なんだよ、しらけるやつだな」

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