第11話 愛
最初に感じたもやもやした感情。あれは間違いだった。私との違いにもやもやしたわけじゃなかった。きっとその時から、私はもう……。
そんなその子に、私は自分の在り方を初めて人に打ち明けた。私は鏡で、相手に合わせるだけの存在だって。
なぜ打ち明けたのか分からない。でも、その子に隠したくなかった。これが私だって見てほしかった。大嫌いな私の本当の顔。どうせなら、否定されるなら、この子にされたいって思った。思ったのに。
「鏡は鏡自身が綺麗じゃないと映せない。だからあなたの心は綺麗なんだね。」
否定するどころか、私を認めてくれた。大嫌いだった鏡の私を。真っ直ぐな瞳で、嘘偽りのない言葉で。
嘘をついてないのは知っていた。嘘をつく理由がない。この子は、嘘で人をおだてるような事はしない。優しいけど、間違ってる事はハッキリ否定するから、その言葉はこの子の本心。
深くは考えてないのかもしれないけど、考えずに口にしたからこそ私の心に深く響いた。
その時気付いた。私の中に芽生えた初めての感情。もやもやの正体。
私は、この人が好き。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます