第19話 国冒専用ダンジョン
「腹もいっぱいになっただろ、軽く食後の運動と行くぞ」
本当に軽くなのかわからないが、ヒースの言葉で立ち上がる。
天志達はグリーフ城下町で食事を済ませグリーフ城に向う。
「城に入るなんて緊張するな、天志も初めてか?」
「ああ、俺堅苦しいのダメなんだ、できれば行きたくねぇんだけどしょうがねぇよな」
「テンテンそんなにかしこまらなくても大丈夫だから安心して」
「リンが言うなら気にしねぇで行くか、ドレスコードとかはなさそうだしな」
「ドレスコードなんてあったら菊は一発でアウトね、裸足の時点で失格ね」
「咲裸足はいいぞ、そのうち俺のオシャレさが皆にわかる時が来るぜ」
「わかってしまった時点でその人達はアウトよ」
そんな話をしていると、城の検問所に着いた、かなめと樹神は手をつないでニコニコしながら最後尾から歩いてくる、検問所では衛兵がヒースに気づき、挨拶を交わすと顔パスで入場できた、やるなヒース、そのまま城への道を進み、城を通り抜けて城の裏手まで進む、初めての城で皆見学したがっていたが、ヒースが今度連れてきてやるからと言うので全員が我慢した。
「よし、着いたぞこれがグリーフ国冒専用ダンジョンだ」
そこには小高い丘があり、正面に大きな扉がついていた、古墳みたいな感じだ。
「へぇー城の裏にこんなものがあるのか」
天志が辺りを見回しながら言う
「国冒専用ダンジョンは五つの国全てにあるんだよ、中の構造はそれぞれ違うみたいだけどね、国冒の人達は普段、国からの要請がない限りクエストなんて受けないから、腕がなまらないようにここに潜って修行してるんだよ、中にはクエスト好きかお金に困っているのか、普通にクエストを受けてる人もいるみたいだけどね」
「へぇーやっぱりリンは何でもしってるな、ドジだけど」
「ドジだけ余計だよ」
「補足するとな、国冒クラスが受けてもおいしいクエストが、そんなに頻繁に出されねぇってのもあるんだけどな、だからレベルの高い国冒クラスはダンジョンで修行してんだ、このダンジョンは一応地下50階まである、1~3階まではレベル10前後で余裕だろ、まっ3階までならすぐだすぐ、で4階からレベル15、5階がレベル20って具合に9階までは五つ飛ばしで行くと思ってくれ、そんで10階がレベル50前後だ、お前らは一月で地下10階を目指してもらう、つーかクリアしてこい、それが最初の目標だ、午前中にクエストやって、帰ってきたら昼飯食ってダンジョンだ」
「一月かからずクリアしちまったらどうするんだよ?」
「ははっ、天志は威勢がいいな、クリアできたら計画を前倒しするだけだから安心しろ、その方が俺は助かるからせいぜい頑張ってくれ」
「ふーん、後さ、最低でも一月はここにいるってことだよな?」
「そうなるな」
「俺さホームはハパールのヤドリギがいいんだけど何とかならねぇの?」
「俺のテレポで毎日移動してもいいが、あいにく一度に四人まででな」
「オッサンが往復すればいいってことだな」
「天志お前、人使いが荒いぞ、まぁできなくはないが」
「ねぇ、かなさっきの戦闘でテレポってやつ覚えたよ」
「本当か、かなめちょっとスキルブックを見せてくれ」
かなめはヒースにスキルブックを渡す。
緋村かなめ 16歳 黒の契約者 ギルドランクC レベル14 HP123 MP107
ヒースがスキルブックをスライドする。
魔法 ヒール シールド スキャン テレポ ウィンドと書かれている。
「かなめ、お前結構優秀な魔法持ってるな、ヒールがあるだけでかなり助かるが、テレポもあるのか、この魔力なら二人はいけるか、他の皆がハパールでいいならホームはそのヤドリギってとこでもいいぞ」
「私は構わないわ」「俺は咲がいればいいぜ」「かなもどこでもいいよ」「コダマンはヤドリギがいい」
「俺は魔法が使いたい」
「なら決まりだな、これからはそのヤドリギって宿屋をしばらく拠点にするからな、幸いハパールなら俺がテレポで飛べるから、お前らが潜ってる間に俺が予約はしておく、長話しちまったが早速潜ってこい」
ヒースに促されて天志達がダンジョンの扉に向かうと、ダンジョンの扉が開き中から一人の男が出てきた。
「おお、アランじゃねぇか久しぶりだな」
「うわっヒースさんだ、お久しぶりですグリーフにいらしてたんですね」
「ちょっとな、あいつらの先生頼まれちまってな、アランは修行か?何階潜ってたんだ?」
「今日は27階行ってました、皆さんこんにちは、アラン・ウィリアムズです宜しくね、ヒースさんが先生なんて羨ましいよ」
アランは耳にかかる位の金髪サラサラヘアーで、綺麗な顔をしているが、気取った感がない、ザ好青年って感じだ、シルバーの鎧にマント、冒険者と言うよりは城の兵士みたいな格好だが、マントにはグリーフの国家直属冒険者の緑色のマークが入っていた。
天志達が皆アランとあいさつを交わす。
「あまり邪魔をしちゃいけないね、ヒースさん時間ある時でも一杯やりましょう」
「そうだな、近いうちに連絡するわ、それとアラン、ついでに今度時間ある時にでも、あいつらと手合わせしてやってくれねぇか、強いやつと戦うってのはそれだけで勉強になるからな」
「ええ、僕でよければいつでもこの町にいますから、声かけてください」
「そうか、じゃ頼むわ、その後一緒に飯でも食うか」
「はいっ喜んで、約束ですよ、それじゃ皆さん頑張って下さい」
ザ好青年はそう言うと去っていった。
「ほらお前ら、早くいかねぇと、明日になっちまうぞ、あっそれと三階クリアしたら一番奥の壁に変な模様があるから、それ触ってリターンって言えば戻れるからな、忘れんなよ、俺は忘れてたけど」
「あのまま行ってたらヤバかったな」「あのおっちゃん大丈夫か」と天志と菊之助が話している
「どれくらいかかるかわからないから、もう行くわよ、早く終わらせてシャワーが浴びたいの」
咲にせかされ扉に向かう
「みんな~がんばってね~」
リンの声援に答えながら天志達は扉を開き中へと入っていくのだった。
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