第15話 自己紹介

 六人と一匹は噴水の近くにあった酒場に入り、少し広めの席に座る。


 各々好きな飲み物を頼み、料理はヒースが適当に頼んでくれた。


「かんぱーーーい」

 全員でグラスをあわせる、リンだけは仲間外れだが仕方ない。



 最初に天志がきりだす

「えっと三人はまだ気づいてないと思うけど、この猫が悪魔なんだ」


「はっ?この白黒猫があの綺麗なねぇちゃんかよ」


「リンって呼んでね」


「うわっしゃべった」

 三人全員が驚いたが、エレクシアでは極たまに魔力が宿った動物が話したりするので、驚く人は少ない、むしろ話す動物は天使のペット、天の使いなどと呼ばれ崇められるくらいだ。


「喋る猫だよ、リンは全員知ってるけど、初めましての人も多いから、自己紹介してもらおうかな、テンテンから時計回りね」


「はいよっ、俺は天草天志、十七歳宜しく」


「テンテンそれだけでいいの?」


「ああ、名前さえわかれば後はそのうちわかるだろ、好き嫌いは相手が思うことだからな」


「じゃあ俺だな、何かスゲー待たされた気がするが、俺はヒース・アレサンドロ、四十八歳だ、ダ・スルームの頼みでお前らの先生役を頼まれた、多分俺は厳しいが疲れたとかは言わせねぇからな、覚悟しといてくれ、ただお前らを必ず強くする、それだけは約束する宜しくな」


「次はかなだね、私は緋村(ヒムラ)かなめ、十六歳です、皆の足を引っ張らないように頑張ります、宜しくお願いします」


「コダマンはコダマンだよ、おっぱいが好きなんだ、よろしくね」

かなめは焦った、コダマンおっぱい好きなのどうしよう、かな胸ちっちゃいんだよね


「私は五十嵐咲(イガラシサキ)二十二歳よ、悪魔さんと契約したからには戦うけど、何のために戦うのか、何をしたいのか、そこは聞いておきたいんだけど、話していただけるのかしら悪魔さん?」


「えっと仲間は全員で九人いるんだけど、皆が集まったらちゃんと話をしたいと思ってるよ、それまで待ってって言うのはだめかな?」


「とりあえずわかったと言っておくわ、もし待っていられなかったらごめんなさいね、何か戦う目標、理由が欲しかったの、長くなってごめんなさい、宜しく」


「よし俺か、俺は藤堂菊之助(トウドウキクノスケ)だ、とにかく強くなって全てを守れる力が欲しいと思ってる宜しくな」


「これで全員だね、これからの予定なんだけど、他の仲間を探しながらとにかくヒースに鍛えてもらうよ、皆にお願いするのは強くなってもらうこと、そしてリンの体を探してもらうことだね、まずはそこからかな」


「ダ・スルーム俺からもいいか」


「うん」


「お前達には俺を超えてもらう、その為に一ヶ月で、まずレベル50を目指してもらいたい、レベル50ってのは、俺の場合冒険者になってから4年かかった、言ってる意味わかるよな、それだけ無茶させるってことだ、そして半年で俺を超えてもらう、その為の修行は考えてある、二度も死ぬなよ」


 かなめと咲が不安そうな顔をしている、それより不安そうなのが菊之助だ。

 天志と樹神は逆に楽しそうだ。


「どんな修行をするのかしら?」


「最初のうちは俺の持ってくるクエストをやってもらう、幸い今の人数は五人だ、パーティー組んでクエストをこなしてりゃ強くなるさ、それに金も貯まるからな、人数増えたらその都度俺が人選するから心配するな、何か他に聞いておきたいことはあるか?」


「強くなる方法はわかったけど、仲間探しはどうするんだ?」


「それはな俺とダ・スルーム、後クエスト帰りでも動ける奴で町や村を回る、回るって言っても徒歩や馬車じゃないから安心しな、俺がテレポで行ける場所だけだが飛んでいく」


「おお!!魔法か!一発目は俺絶対行くぞ」「コダマンも行く」


「その元気があったらな」


「俺の絶対は絶対だ見てろよ意地でもついてくからな」


「ああ、期待してるぞ天志」


「この後は五人でギルド行って、パーティー組んできな、それからは自由にしていいぞ、明日から本格的にいくからな、最後の自由になるかもしれねぇから、満喫しな」


 こうして、各々ヒースの冗談か本気かわからない最後の自由な時間を過ごす。


 リンはヒースと二人今後の計画を話し合う。


「なぁダ・スルーム、俺より強くするまでは面倒見れるがその後はどうするんだ?」


「うん、それまでにリンの体を見つける、そしてデストに行こうと思ってるんだ」


「デストだと!、魔界者の大陸で何する気だよ、俺も一度も入ったことのない地だぞ」


「うん、危険なのはわかってるんだけど、一人皆に会わせたい人がいるんだ」


「合わせたい奴?魔界者を魔の地から連れてくるわけにはいかねぇんだろ、会いたいならこっちが行くしかねぇってことか」


「うん、魔の地の人達も出れないわけじゃないんだけど、外に出るのを極端に嫌うからね、たまに物好きが出てくるけどね」


「出てきてほしくねぇけどな、昔一度だけその物好きが暴れて、討伐クエストで戦ったんだが、たった一人と戦うのに俺のパーティーも入れて4パーティーで挑んだんだが、残ったのは俺らのパーティーと三人だけだった、まったく割に合わねぇクエストだったぜ、あいつら何であんなにツエーんだ?」


「リンもなぜ?って聞かれるとわからないんだ、あの地がそうさせるのかあの血がそうさせるのか、他の大陸の異性と絶対に交わらないからね」


「交わったら必ず見つけて、二人共殺されるってやつだろ」


「うん、掟みたいなものらしいんだけどね」


「そうだっ、あんたがデストに行くなんて言うから焦って忘れるとこだったぜ、ダ・スルームあんたの体、北のどこかにあるみたいだぜ、今日はその報告をしに王に会いに来たんだ」


「ホントに!ヒースは仕事が早いねっ、でもヒエリアか寒くて嫌いなんだよね」


「そんなこと言ってられねぇだろ、まだ場所までは特定できてねぇんだが、俺の仲間の一人に探してもらってるところだ」


「そっか、ありがとねっヒース」


「そんなもん、あんたにしてもらったことに比べたら、ちっぽけなもんだよ」


「まだ言ってるの、ヒースも義理堅いね」


「死ぬまで忘れねぇよ、それじゃ俺は明日の準備でもしてくるわ」


「うん、宜しくね」


「おお」


 相談しようと思ってたことは、みんなヒースが考えてくれてたな、ヒースに任せればレベルは何とかなりそうだね、リンは今できることをやらなくちゃね。




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