第11話わたしは心の中に語って言った~

(原文:第1章16~18)

16 わたしは心の中に語って言った、「わたしは、わたしより先にエルサレムを治 めたすべての者にまさって、多くの知恵を得た。わたしの心は知恵と知識を多く得た」


17  わたしは心をつくして知恵を知り、また狂気と愚痴とを知ろうとしたが、これ  もまた風を捕えるようなものであると悟った。


18  それは知恵が多ければ悩みが多く、知識を増す者は憂いを増すからである。



ソロモン王自身は、過去のエルサレムを治めた全ての王と比較して、誰よりも多くの知恵と知識を得ることができたことを自覚する。


そしてさらに、懸命に努力して知恵を求め続け、狂気とは何か、愚痴とは何かを理解しようとした。

しかし、これも地上で展開する様々な事例と同じで、風を捕えるような実体のない空しいものであったと悟ったと言う。


「知恵が多ければ悩みが深く、知識を増すものは愁いを増す」

知恵とは、知識に基づく、その応用なのだろうか。

その応用方法を知れば知るほど、どう応用していいのか、悩んでしまう。


知識とは、学問的知識あるいは真実あるいは事実の集積だろうか。

その知識も増せば増すほど、どうしたらいいのかわからない、憂いは増すばかりと語る。


何も知らず、何も考えなければ、増すような悩みもなく、憂いもない。


この世の全ての事例を知り、もちろん狂気も愚痴も全て知りうる神は、どれほどの悩みと憂いを抱えているのだろうか。

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