II

「小野寺!どうしたんだ!」

「私…私は何も…!」

緻密に計算されてできた絵画にペンキをぶちまけたかのようだった。

小野寺の視線の先には鮮やかすぎるほどの赤い血にまみれた渡辺の死体が転がっている。

「俺は救急車を呼んでくる!垣は小野寺を頼む」

頼むといわれても僕も冷静ではいられない。人が死んでいる?それも先生が?なぜ小野寺はここに__。

混乱した思考はまとまらないまま宙に浮かんでいく。

「ねえ。」

小野寺に呼ばれた。僕は返事ができずただ小野寺の方を向く。彼女は笑っている。

「犯人は垣君だよ。」

その言葉が耳に入り理解に当たる前に僕は意識を失った。 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

青年と嘘 エパナスタシー @LiKeLiFe

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ