青年と嘘
エパナスタシー
I
40人いたクラスはいつしか39人になっていた。あたかも初めからそうであったように。
先月のはじめ、担任の渡辺と欠けた1人である小野寺が学校からいなくなった。前者は体調不良、後者は不明だ。
「絶対ナベと小野寺カケオチしたって!!!」
教室ではこんな話ばっかだ。事実前々から学生のフツウを超えることをしているという噂はあった。それがこのタイミングの良い離脱によって拍車をかけている。「垣、今度ナベの家に行ってみようぜ。」
面倒くさい誘いを投げかけてきた富士に僕は「絶対嫌だ。」と言った。
「お前も気になってるんだろ、明日駅前で待ってっからな!!!」
そういうと彼は返事も聞かず部活へ行ってしまった。よりにもよって駅前か。
丁度明日用事があったしついでに行くことになりそうだ。
「お、いたいた!来ないかとおもったぜ」絶対にそうは思ってない笑い顔を浮かべながら富士はやってきた。
「さっさと行こう。」
先生の家は駅から数分のところにある。生徒が駅前にたむろするたびにやってくることから判明したらしい。
「で、結局行ってどうするのさ、まさか入ろうなんて考えてないよね?」
「んー。まあ行ってから決めればイーじゃん?細かいところは」
うん。やっぱり行かなきゃよかった。そう後悔したところで家の前に着いた。灰色のBOXカーが止めてあるごく普通の一軒家だ。
「さあ、着いたよ。少し見たら先生に見つかる前に帰ろう。」そう言った直後。
2人の耳につんざめく悲鳴が響き渡った。僕がどうするか尋ねる前に富士はもう玄関のドアを開けていた。
「行くぞ!垣!」見知らぬ廊下を駆け抜け悲鳴が聞こえる部屋へ向かうと、そこには小野寺がいた。
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