第30話、戦の行方と深まる疑問
南雲は明日朝早いため自分の部屋に戻った。
特訓するようになってから知ったことだけど、南雲の部屋って割とすぐ近くなんだよね。一つ上の階のエレベーター横。俺の住んでるここもエレベーター近くだからすぐ来れるってわけだ。
そして当の南雲はと言うと親切にも手料理を振る舞ってくれた。料理作れるってことに衝撃受けたわ。しかも旨かったし。後片付けも綺麗にしてくれたし、本当なんでそれで非常識な行動をとるかなぁ。
「はぁーあ…………」
自室のベッドに転がり、深いため息を吐く。
さっきのアレ、どっからどう見ても焔の戦神様のやつだった。
あれがなんなのかは分からないけど、焔の戦神様は肌身離さず持ち歩いてた……気がする。
実は焔の戦神様は嵐武様の屋敷に数回訪れただけで、俺と会ったのも数回だけ。一部の神様達のように人間に対する嫌悪感を露にするでもなく、白狐のように過保護な訳でもなく、友達と接するような話し方のお喋りな神様だった。
そのときにさっきのアレを見せてもらったんだ。
見せてもらわなくても、あの小さな玉を首飾りにして身につけていたのを知っていたため何も驚くことはなかった。
ただ、そのときの言葉が………
『柳 爽。この玉はな、俺達神にとって大事なものなんだ。何故なら…………』
覚えてないんだよなー。
何故なら、の続きの言葉がモヤでもかかってるみたいに思い出せない。かなり昔で俺が小さかったって訳じゃあないのに、どうして思い出せないのかな。
でもアレが神様にとって大事なものだってことは確かだから、焔の神様が自ら手放したって可能性は低い。つかありえない。
なのに何故人間界にあんなものが?
人間界に雷の戦神様の雷の影響が出ていた期間、焔の戦神様と雷の戦神様は争っていたはず。もう戦ってないとしたら、どちらかが勝ったんだとしたら。………焔の戦神様が戦に敗れたことを意味してるのだろうか?
思考が段々悪い方向にいきだしたそのとき、能が破裂した。
「だーーーもう!!考えるのナシナシ!止めだ止め!」
マイナスに考えても原因が分かる訳でもないんだから、うじうじ考えちゃ駄目だよな。
もしかしたら俺の見間違いとか、焔の神様の玉に似た全く別のやつかもしれないしな。
………でも、南雲は人間のものじゃない力を感じたって言ってたのは………?人間以外の生き物は妖怪と神様だ。南雲は妖怪の力とは言ってない。人間じゃない力と言った。それはどう説明する?
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