レイヤー2 【3/10】
JRと地下鉄を乗り継ぎ三十分、満員電車に揺られ自宅の
……ふぅ。
なんとか
口元を
ぼんやりとテレビを眺めながら
……なんて、そんなこと、あるわけないよな。
妄想に浸ろうとしても
……いや待て、待て待て。
なんで室見さんが浮かんでくるんだ。違うだろう。今思い出すべきはスルガシステムという会社の
ぐぅと腹が鳴る。
そうだ、食事しなきゃ。
足取りも重くキッチンに向かう。できればこのまま眠り込んでしまいたかった。だがさすがに昼と晩の二食抜きはまずい。
だが
仕方なくあり物をかき集め寝室に戻る。サラミをつまみ缶ビール片手にテレビを見ていると何とも言えない
ゼミの同期とか……
考えまいとしても、独り身の
「ふわぁ……あふ」
アルコールの回りが早い。強烈な
夢の中で、工兵はコピー
ジャンジャンと鳴る電話に囲まれながら、
『どうしたらいいんですか、室見さん』
室見はちらと工兵を
『朝四時の作業に間に合わせなくっちゃ!』
ああくそっ、どれから片づければいいんだ。誰か、誰か教えてくれ!
『ググったら』
室見が興味なさげに言った。
ひどい夢を見た……。
四月二日
頭痛と軽い胸焼けを感じながら、
飲みかけのビールを
こんなことならいっそ何も食べずに寝ていた方が良かったかもしれない。
まぁ……どうせまた自習かコピー取りだろうし。
午前中は適当に気を抜きながらこなしていればいいか。午後になれば少しは
エレベータを降り受付を抜ける。廊下の突き当たりにたどりついてカードキーをかざした。
そうそう、
オフィスの
………!?
………!
ショックのあまり
ふ、ふ、
意味不明な思考が脳を満たす。落ち着け、落ち着け、深呼吸だ。息を吸って、吐いて、吸って、吸って。
冷静に考えろ。藤崎さんが何人もいるわけないだろう。今のは幻覚だ。二日酔いでものが二重、いや五重に見えているだけ。
───。
やっぱり人が五人倒れていた。何度見ても同じだ。ブラインドの
なんてことだ。自分がいない間に何があったのか。
藤崎さんや
頭がくらくらする。ふらふらとよろめきかけて
………。
あれ。
目をしばたたき扉のパネルを見る。そこには『ソフトウェア開発部』と書かれていた。
……違う部署なのか。
混乱しながら振り向くと、廊下の途中に
ほっとしていると、
「エンバグ! またエンバグしてる!」
男の
………。
彼は逃げるようにソフトウェア開発部をあとにした。
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