レイヤー1 【5/7】
手足を胴体に引き寄せ右半身を下にして
服装は周囲の惨状と反対にひどく
「な……な、な……」
頭が真っ白になる。予想外の
そこまで考えて、ふっととんでもない想像が
(まさか……この子が室見さん……?)
いやいやいや。
「………」
と、とりあえず起こしてみるか。
左手を机から
足の踏み場が……ない。
もともとわずかな
ぐらりと
「う……」
ただでさえ自分の角度からは少女の胸元がはっきり見えているのだ。キャミソールの
………。
じゃなくって。
何を見入ってるんだ、自分は。
とにかく彼女には起きてもらわなければ。目を覚まし、今いるところから立ち上がってもらう。そうすれば足を進めるスペースくらいできる。
「あの……もしもし?」
おずおずと呼びかける。だが少女は身動き一つしない。
「もしもーし」
声のボリュームを上げる。
「朝ですよ?」
無言。
「寝坊ですよ!」
「
───。
工兵は唇をへの字に曲げた。くそっ、無防備な顔で眠りやがって。僕が
………。
ストップ! 自分、ストップ!
いかんいかんいかん。
なんでこう意図せぬ方向に目が動くのか。平常心だ、息を吸って深呼吸して、平静に、冷静に。
大きく息を吐き
ふっと思いついて彼は少女に視線を戻した。息を吸い込み
「機械、片づけちゃいますよ?」
………!
効果は
少女の目がかっと見開かれた。
………。
工兵は
目の前に、人形のように小さな顔がある。息がかかりそうな
「……指一本でも触れたら、殺す」
桜色の唇が開き、地の底から
「今、エイジング
「……わ、分かりました」
「本当に分かってるの? 私がこの構成組むためにどれだけ苦労したと思ってるの。あのアホ社長、ベンダーの在庫も
「わ、分かったんで、ちょっと手を──」
「分かってない! そうやって口先だけごまかして逃げるつもり!?」
あああ。
工兵は絶望的な気分で
あ……れ?
足が言うことをきかない。
「……っ!?」
少女が大きく目を見開いた。
いや、
頭のどこかで冷静なつっこみを入れながら。
工兵は。
革靴の底で、力一杯少女の腹を踏み抜いていた。
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