鍛冶屋
鍛冶屋にも簡単に着くことが出来た。
(やはり、執事の服装だと避けられるって本当だったんだな)
ドアを叩くと
「入れ」
との声が奥から聞こえた。
中に入ると
「昨日の奴か……」
俺の顔を見て言った。
「そろそろ来ると思っていた。
ちょっと待ってろ。ドアを閉めてくる」
そう言ってドアまで行き札をドアにかけた上で、鍵をかけた。
「???????」
そして戻って来るなり、俺の身体の筋肉を触った。
「ふむ……やはりな……」
そう言って店の奥へと入っていく
「??????????」
「お前の要件はこれだろう?」
そう言ってじい様が持ってきたのはなんと……
チェーンメイルであった。
「………………………………」
「数日前に、男がやって来てこれを買ってくれないかと言って来た。
怪しいやからだったが、知り合いの作品だった上ワシの親戚の知り合いと言っていたのでな。買いとってやることにしたんじゃ。
何でもどうしても帝都へ向かわないといけない用があると言っていた。」
「ボロスを知っているのか?それとベロウニャの爺さまも……。
このメイルはボロスが俺の為に作ってくれたものだ。」
「やはりな。お主の体型にピッタリと合っていると思ったわい。」
「信じて貰えるか分からないが、俺はここを訪れた男に薬を盛られた上、大事なものをすべて奪われたんだ……」
「ふん。信じているからこそ、これを見せたに決まっているだろうに。
大体、お前が着けている指輪に我らが気付かないと思ったか?
それに、お前からはノームの匂いが感じられる。ヘパイオ様の加護を受けているに違いない。
それとだ。巷で噂になっている明らかに土魔法を使った建物……
時期的に見て作ったのはお主だろう?
これだけ証拠があって分からないほど儂は節穴だと思うか?」
(土魔法だとやっぱりすぐ分かるもんだな。)
「しかし気になることがある。お前とその男何故ベロウニャとボロスを知っておる?彼らは鉱山で使役されているはずじゃが。」
そこで俺は概略を話した。
「そうか……ベロウニャ達は先祖の地へ帰還を果たしたか。教えてくれてありがとうよ。
そしてお前がドワーフの友を指に填めている理由も良くわかったわ。」
そう言って口をつぐんだ。
「今日俺が来たのは実はそのことじゃない。
もちろんチェーンメイルについて気にはなっていたが、馬車の車輪がいかれてしまってそれを直して欲しくて来た。チェーンメイルをいくらで買ったか知らないが、金を用意出来るまで出来れば売らずに取っておいて貰えると有難い。」
「なんと、ここに立ち寄ったのは偶然だとな。ヘパイオ様に感謝じゃ。」
そう言った後、チェーンメイルを俺に渡そうとして来た。
「無料でよい。我らが一族の恩人からお金をとるなんぞ出来るわけないじゃろ」
「ミュルガの奴に騙されたのはあくまで俺の自業自得。ベリチェさんには関わり無いこと。
損させる訳にはいかない。それよりミュルガの奴何故そんなに金を欲しがったのか知りたい。何か漏らしてなかったですか?」
「恐らくじゃが、何としてでも帝都に入りたかったんじゃろ。見た感じ必死じゃった。
金を積めば裏ルートから帝都に入れると聞く。やましい人間が入る為の一つの手段じゃな。」
「他に何か奴は話してなかったですか?」
「そう言えばバレリオ商会について聞きたがっていたな。帝都で最近羽振りの良い新興の商会じゃ。あまり良い噂は聞かんがの……。」
(バレリオ商会か……覚えておこう。)
結局チェーンメイルについては、結論が出ず俺が帝都より戻ってから再度話をする事となった。
「馬車は直ぐ直すから持っておいで」
「助かる。」
俺は馬車を持って来ると約束事し店を出た。
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