買い物

翌日目が覚めると周りが非常に騒がしかった。


カマクラの壁に少しばかり穴を開け覗き込む。


(やっちまった…………)


大勢の人がカマクラの周りを囲っていた。


(脱出しないと……)


数メートル穴を掘り身を一時期潜める、それと同時にカマクラの壁を一気に崩した。

その後崩れた土を風で巻き上げ、煙幕とする。


(よし、今だ)

気配を消すと同時にマナを回し一気に人の輪を駆け抜けた。


(何とかなったな……今度からはもう少し人気の無いところで野宿しよう。)

そう心に誓った。


(さてと、まず洋服店だな。)


昨日一緒に飲んだおっさんの店へと向かう。

幸い迷うことなくすんなり着いた。


「お前さん、昨日はごっそうさんよ。久しぶりに旨い酒をたんまり飲めた。あんな高い酒を皆に振る舞うなんて、まあ豪勢だな。」

そう言って背中をバンバン叩いた。


(あの酒、なんて言ったっけ?そんな高い酒だったのか……。店主の奴俺の服装みて足元みたな……。まあ、しょうがないか……)


庶民の逞しさを俺は感じた。


「で?今日は良い話かい?」


「普通の平服を売って貰おうと思って。この服装だと、なんか窮屈で」


「おう、まってろ。お前さんに似合いそうな服を見繕ってくるぜ。」

そう言って店主は奥に引きこもり、数着の服装を持ってくる。


その中から数着見繕って買うことにした。着替え室で取り敢えず着替える。


着替えた執事服を持って店を出ようとしたところ


「お前さん、どうでも良いが服が汚れてよれよれだぜ。よけりゃ家の家内に言って洗濯させるが、どうだ?

なーに、金を取ろうって分けじゃあない。昨日の礼さ。」

そう店主が声がけをしてくれた。


せっかくなので好意に甘え、洗濯を頼むことにする。


「夕方には洗い終わっているから、取りに来るんだぜ。」


「ああ、また来る」

そう答えた。




(さて次は布屋だな。)


◼️□◼️□◼️□◼️□



洋服店の店主は布屋とも知り合いだったらしく

わざわざ店の前まで送ってくれた。


「こんにちは。」


「おお、昨日の旦那じゃないか。今日は昨日と違ったラフな格好だな」


「あの格好だと目立つんでね。」


「まあ、そうだ。ところで昨日聞いてきた物を用意すれば良いんだな。ロープの用意と、縫い子の用意に暫く時間がかかるんで一週間ほど時間を貰うぜ。それでも良いんだな?」


「ああ、それで構わない。手付金だけ先に払っておく。」


「それは助かる。早速材料集めと針子集めにかかるぜ。」

そう言って布屋は張り切って見せた。


金を渡した後、一週間後の再開を約束し俺は

次なる目的地鍛冶屋へと向かった。


(あのじい様俺のことまさか忘れていないよな……)

一抹の不安を抱きつつ…………

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