食えない

「一応筋は通っているようだね。

犯罪者で無いこと、他国の間者じゃ無いことは間違いなさそうだから帝都に入る手立ては妾が手配する。安心しな。お金については貸してやる。どのくらい貸せば良いんだ?」


「それについてはこれと交換でどうだ?値段はガルダがつけてくれて良い。」

そう言って俺は魔石を見せた。


「魔石かい。妾にとっては願ったりかなったりだが……

よし、ゴブリン魔石1個につき金貨1でどうだ?

それ以上は出せないが。」


「1個当たり50シルバーで構わない。」


「妾はその方が助かるが……

何か条件があるのかい?」


「ああ、その代わり空いている部屋を幾つか借り受けたい。掃除や補修は俺の方でする。ただ、誰が泊まったかは他言無用で頼む。」


「20シルバー」

俺は頭を振る。


「30」

同じく頭を振った。


「40までだ。それ以上の交渉なら断る。」


「ふん50で良い。50で。

それだけでも充分さ。」


「……なら何故?」


「お前が何を企んでいるのかは知らんが、

それにどの程度のリスクがあるのか計りたかっただけさ。

10や20で手を打つならまず断っていた。」



(試したか……食えない女だ……)



「あんたもね?」



(えっ何故……?)

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