裏切り?そう言われても……

「バルバレス、何故裏切った?」


「異なことを言う。何を裏切ったと言うのだ?」


「妾を裏切ったではないか?」


「契約はキチンと果たしたぞ?その男が期日までに魔石を支払うまで命はきちんと握っていた。」


「…………妾と一緒に今まで上手くやってきたではないか。」


「ああ、契約に則りな。受けた代償分はきちんと返していたぞ?」


「節操がない。所詮は闇落ちの精霊と言う訳だな…」


「魔族であるお主が儂に何を期待していたのか知らぬが、儂と汝の間には貸し借りはない筈じゃ。契約をなし得た後、儂が何をしようと汝には関係ないはず。」


「妾との契約が終わったタイミングで、そのヒューマンとの契約に乗り換えたと言う訳か…」


「まあ、契約をしたのではなく眷属となったのだがの。」

それを聞きガルダが呆気に取られた顔をした。


「眷属と……。なら妾と組むつもりは…」


「今後無いな。まあその男が死ねばありうるが。生きている間は無い。」

そうバルバレスはすっぱり言い切った。


(バルバレスってドライだな…)

少しガルダが可哀想になる。


(でもこいつ、魔石を渡したとたん再度俺に呪いをかけようとしたんだよな…。

なら、自業自得か。

まあそろそろ頃合いかな?)

二人の話に入っていくことにした。


「二人とも話は済んだか?


しかしガルダ、お前実に色々舐めたことをしてくれたな。黙って魔石を受け取り俺を見送ったなら見逃すつもりだったが。再度バルバレスを憑依させようとするなんて…」


「くっ…。人間なんてものは全て我ら魔族の下僕にしか過ぎん。」


「…今の状況、分かっていないな。

しつけが必要か…。良かろう。

バルバレス好きなだけオドを吸い上げて良いぞ…」


『主気前が良いの~。なら遠慮なく。』


「ぐわあああああああああああああああ」


『殺すなよ』


『いっそ殺して後顧の憂いを断つのも良いかもしれぬぞ?』


『それもそうか。でも、殺すのは何時でも出来るだろう?』


『まあ、そうじゃが。主の好きにすれば良い。』



「こんなことをして我が同胞が…」



『バルバレス手を緩めるな。』



『御意』



「ぐわあああああああああああああああ」


その後も懲りずに恫喝をガルダは繰り返し

その度オドを吸われ続けた。

そして何度かの抵抗の後、ガルダは気を失った。


(さて、こいつの扱いをどうするか…。)


ふと見ると、白目を剥いて気絶している上に

粗相をしている…


やれやれ…魔族とは言え、女性の形をしている以上ほっておけないな…


先ずはこの館を探索するか…


そう考え、行動を起こすことにした。



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