自業自得

気を取り直しガルダの屋敷に入る。



「たのも~」

ドアのノッカーを叩いた。



(反応が無いな?)



再度

『たのも~』

と怒鳴る。



しばらくおいてギィーと音がしてドアが開き

それと共に突風が中から吹き荒れた。



(やばっ)



慌てて俺は自分の身体から少し離れた場所に真空をイメージしていく。



『シュッボ』『シュッボ』『シュッボ』

と言う音とともに風は俺を避けていく。



暫く後にガルダが現れた。



平然としている俺を見て怪訝そうな顔を浮かべる。

「お前なんか私を舐めていないかい」



「……」



「…………」



「………………?」



根負けしたのかガルダは『はあっ』

とため息をつき口を開いた。



「人の寛ぎの時間を邪魔しておいて、つまらない内容だったら分かっているわよね?」



「お前、俺に魔石を用意してこいと言っていただろう?」



「…………で?用意できたの?」



「…………」



「まさか期限に間に合わないから命ごいにでも来たんじゃないだろうね?」



「違うが、ちゃんと約束は果たしてくれるんだろうな?」


「私のことが信じられないとでも言うのかい?良い度胸だね。」


「ああ、俺と約束したにも拘わらず村人から倍魔石を取っているらしいじゃないか?」


「はん?何故私がそんなせこいことをしなきゃならないんだい?」


(とするとだ、こいつか神父どちらかが嘘をついているってことか……。

ただ……この際どうでも良いか。

あいつらにギリなんてない。)

俺を囲んで糾弾したやつらの顔が浮かぶ。


「まあ、そうだな。約束の物を手にいれた。

渡すからさっさと呪いを解いてくれ。そしたら俺はさっさとここを出ていく。」


そういって俺はゴブリンの魔石をきっちり40個渡した。


「ふん、約束を果たす位の度量はあるんじゃないか……しかも、これはダンジョン産のゴブリン……」

凄く嬉しそうに笑った。


「こんなご馳走暫く振りさ。思った以上の働きだ。約束は守るよ。」

そう言った後俺を指差し


「契約はなされた。バルバレス放してやれ。」

そう呟く。


『バルバレス?完全に契約は終わったか?』


『ああ、ガルダは約束を履行したぞ。』


それを聞き俺はほっとした。

(さてとっとと出るか……)


「じゃあ、俺は去るぞ。」

そう言ってガルダに背を向け出口へと向かう。



「待ちな」



「ん?約束は果たしたぞ?」



「確かにな。だから私も解放すると言う約束を果たした。違うか?」



「ああ?。ならもう終わりだろう?出るぞ?」


「待ちなと言ってるだろう?こんなに良質の魔石を取ってこれる猟犬を私が逃すわけ無いだろう?」


『バルバレス、ガルダの言うことは聞くな』

咄嗟に念じる。


「お目出度いやつだね。バル……』


バサッ~


俺は隠し持っていたミスリル屑を、ガルダの口目がけ投げ入れた。


ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ


凄い悲鳴が辺りに響く。


『いまだバルバレス、ガルダの魔核に取り憑け』


『ははは、分かったぞ主。愉快愉快』

そう言ってバルバレスはガルダの中に入っていった。


なぜ~~~~~~だ~


ガルダが続けて叫ぶ。



とにかくも、この日俺は一匹の魔族を制圧したのだった。


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