呪われる?
『とりあえずバルバレス、スライムをもっと後退させて行ってくれ。』
『フム』
スライムを先導役とし、奥へ奥へと行く。
しばらくすると道は二股に分かれていた。
(まだ奥があるのか?)
『どうする?主どのよ』
『右へ行って見よう』
そう言って右の通路へと進む。
歩くこと5分、今度は道が3つ又に分かれていた。
(流石に今回はここまでか。これ以上探索するのにはそれなりの準備が必要そうだ。)
もと来た道を戻ることにする。
歩きながら考える。
(ここまで、結局ミスリル製チェーンメールとソードを見かけることはなかった……。
と言うことは……まだ可能性があると言うことだな。
とりあえず、今回の旅は色々収穫があった。)
野営地でスライムをリリースし、小部屋まで戻った。
『これからどうするのか?』
『オーガを狩って魔石をもう少し貯める。そのあとガルダに納めるもの収めて帝都へ向かおうと思う。』
そうバルバレスに告げた。
『分かったわい。』
その後、しばしの間、俺はオーガ狩りに専念したのだった。
◼️□◼️□◼️□◼️□
そしてその数日後ガルダに会う為、ガルダの館へ向かっていた。
街道を歩いていると
バラバラと人が出てきて俺を囲む。
(なんだ?なんだ?)
「こいつです。こいつで間違いありません」
そう神父が俺を指さす。
「こいつか……。確かに神父が言っていた特徴通りの男だな。こんな奴の為に我らは……」
村長が俺を睨んだ。
「お前がガルダ様を怒らせたおかげで、我らに難が降りかかってきた。どうしてくれるのだ?」
神父が続けて口を開く。
「どんな難が降りかかってきたと言うのか?」
「お前のおかげで日々ガルダ様へ納める魔石が倍になった。これがどのくらいの負担になるか分からぬでも無いだろう?」
「待て、それはガルダから直々に言われたのか?」
「ああ、神父様、そうですね?」
「そうだ。私が代表として、毎日ガルダへ魔石を納めている。」
「本当にか?」
「神に仕える我を疑うとは……
不埒ものめ。」
(だとしたらガルダの奴、裏切りやがったな……)
「俺はガルダに直談判しに行き、全て俺が負うので村人に迷惑かけるなと話を通したのだが。」
「なんと……」
「村長騙されてはいかん。見も知れぬ我らの為にそんなことを行う者がいる訳はないだろう?」
「なら、ガルダの所へ行って確認しよう。俺も行く用事がちょうどある。この身に掛けられた呪いを解かさせないといけないからな。」
「そんな怪しい話、信じたらダメですぞ。」
と神父は続ける。
(鬱陶しいなこいつ。俺に信用がないことを良いことに……。そうだ……。)
「これが何の印しか分かりますよね。」
そう言って左手にくっきりと浮かびあがっている紋章?を見せた。
「そ、それは……」
騒いでいた、村人達が一斉に押し黙る。
(どうやら多少信じて貰えたらしいな。)
「信用できないならば、言って聞くのが一番だろ?」
「そうだな。」
と村長が頷く。
「ガルダが約束を違えている可能性もあるしな。その場合には断固文句をつけねばならない。その際は神父さん、証言を頼むな。」
「あっ、ああ……。」
こうして俺達はガルダの屋敷へと向かった。
ガルダの屋敷の前、50メートルのところで不意に神父が倒れた。
「ガ、ガルダの呪いが……」
そんなことを言って踞り立とうとしない。
『バルバレス?お前何かしたのか?』
『するわけもない。こやつは元気だぞ?』
ふいに誰か分からないが
「呪われるぞ~」
と叫ぶ
その瞬間だった。
恐慌に陥った村長と村の若い衆全てが逃げ出していった。
(あいつら、一体なんだったんだ?)
『さあ?』
仕方なく俺は一人ガルダの屋敷へと入っていった。
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