古巣
その後俺はオーガを5匹狩り、ベースキャンプへと戻って来た。
そこからさらに秘密の小部屋へと向かう通路へと出る。
ベロウニャが言っていた通り、爆破により通路は瓦礫で埋まっていた。
(さて、どかすか。)
土魔法を使い、天井を補強するとともに瓦礫を砂と化す。
ゴソッと体内から、マナとオドが抜け落ちるのが分かった。
しばらく地面に座りマナの回復を待つ。
(オドで補完できると言ってもマナの総量が少ないのは痛いな)
マナがある程度回復した後
オーガの魔石を使いオドを充電する。
(バルバレス、オドのフィルターを頼む)
『おうよ。食事じゃ食事。
お主といると豪勢な飯がたらふく食える。ほんに、ありがたいのお』
身体にエネルギーが満ちていくのが分かった。
『儂もオドからエネルギーを少し貰って良いかの?』
遠慮勝ちな声が頭に響く。
(苦味成分だけだと、栄養補給はできないって訳か……。
幸いオーガの魔石にはまだまだたっぷりのエネルギーがあるはず)
『好きにとってくれ。毒素を抜いてくれてるお礼だ。これからも……一々聞いて来なくて良いよ。必要なだけ取ると良い。』
そう俺は答えると
『おう。それはありがたい。』
感謝の念がバルバレスから届く。
そして『気前の良い者が主だと助かるわ。』
との呟きも聞こえたように感じた。
◼️□◼️□◼️□◼️□◼️□
何回かの休憩と作業を繰り返した後、俺は秘密の小部屋へと通じる隠し扉に到達することができた。
そして隠し扉を開ける。
(やっぱり……)
秘密の小部屋は爆破された痕跡は無かった。
(小部屋とゴブリンドームを結ぶラインだけ崩落させたんだな。先祖を部屋ごと爆破なぞベロウニャはするはずがない。)
そこには変わらぬ佇まいのロックチェアーの男がいた。
(さて……と。)
『バルバレス、そとにいるヒュージスライムのコントロールを頼む。俺をみても襲ってこないようにして欲しい。それと鉱道奥までそいつを退けてくれ。』
『あい分かった。』
その声と同時に鉱道への扉を開く。
ジュルジュルジュル
そんな音がして目の前から水のようなものが奥へと引いていくのが分かった。
鉱道入口へと目を向けると、数10メートル先からは瓦礫しか見えない。
(ベロウニャの目論見通り、ここは下界と完全に分離されてしまったんだな。)
とりあえず、奥へ奥へと向かった。
(綺麗さっぱりなくなっているな……
おそらく有機物は全部あいつに消化されてしまったんだろう。)
そしてかつて野営地であった場所に着く。
面白いものでかつてミスリル屑置き場であった場所には一部しか侵食された後が無かった。
(ミスリルは魔物にとって劇物だからな。勢いに流されなければ、避けて通るってことか。)
そのまま、奥へと向かう。
ドワーフの家は基本石組である為スライムの被害を殆ど受けていない。
人がいないこと以外は違和感を殆ど感じることは無かった。
前を行くスライム(バルバレス)と念話で話し、倉庫地下へと誘導する。
降りていき、周りを見回す。
(ミスリルの壁が、殆どなくなっている?
でも下に散らばっている破片も僅かしかない。
爆破で飛び散ったとして、こんなに綺麗に無くなるなんてあり得ないだろう。)
そして俺は丹念に周りを調べたが、驚くほど何もでなかった。
なら、この壁の向こうは?
更にスライムを奥へ誘導させる。
壁があった場所を超え、さらに奥へてと俺は向かった。
そしてそこには
下へと続く階段があった。
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