感謝

『これが約束の契約金(石)だ……』


手にオーガの魔石を載せ

俺はバルバレスに呼び掛けた。


『………………』



『?』



『本当に、成してしまうとはな……。しかも1日足らずで。』


『まあここは俺のホームグラウンドってのはあるがな。』


『とは言え、相手は鬼(オーガ)だぞ?。マナも少ししか持たないお前ごときに倒せるなぞ……』


『思わなかったか?』


『ああ。』


『俺はこの世界の人間じゃあない。別の世界よりの迷いびとだ。だからある意味この世界の常識に捕らわれない発想ができるんだ。』


『それがお主、これからは主(あるじ)と呼ぶかの……の強みというわけか……。』


『そうだと思っている。』


『確かに人の身でオドを取り込みマナがわりに使うなんぞの発想は、この世界のヒューマンにはないだろうな。』


『それは何かまずいことなのか?』


『『魔人化する』と言われ、禁止され、

とおの昔に忘れさられた技術じゃったはずだ。』


『魔人化?

所謂『超人化』するってことなら不利益は

無さそうだが?

なんでまた禁止されたんだ?』


『魔人化することによって、獣のようになるとしてもか?』


(ゴブリン達が思い浮かぶ)

『なるほど……。

理性がなくなると言うわけか……。

だとすると俺もひょっとしてまずいのか……?』


(最近バーバリアンと呼ばれるようになってきたのは、もしかしてそれのせい?)


どこかで違うと言う声が聞こえたよーな気がした……


『お主、魔石より直接オドを取り込むことは前からやっているのか?』


『いや、ガルダがやっているのを見て真似した。』


『そうか。なるほどな。

ここでは空気中のオドを取り込む程度だったから不思議に思っていたのじゃ。


洞窟内の空気中のオドを取り込む程度ならば

大丈夫じゃ。それに……』


『それに?』


『今後は儂がいるからな。

知っての通りお主らが魔素と呼ぶものは儂の大好物でな。

主が取り込んだもののうち、エネルギー以外は儂が食べれば解決じゃよ。』


(そうか。そう考えるとバルバレスとの出会いは良いものだったんだんだ……な)


俺はこの世界にいるかいないか分からない神に

初めて感謝した。



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