バルバレス
俺はまた次の朝を迎えた。
そして自分のあほさかげんに気付く。
(さて、どうやってこの壁を乗り越えるか…)
当たり前だが、6mでも越えられない…
ポロモを呼ぶが昨日と同じく、呼び出しに応じなかった。
(あいつ朝弱いんだな…どうするか……)
その時自分の
腹が大きな音をたて鳴る。
グウウウウウウウ
(ポロモが起きるまで腹ごしらえでもするか)
昨日狩ったウサギに刃を通し皮を剥いた後、丸焼きにした。
(味もしないし、なんか生ぐさい…。)
食えたもんでは無かったが、背に腹は代えられず飲み込む。
(今度塩だけでも手に入れよう。)
そう俺は誓ったのであった。
食べ終わった後、ポロモと連絡がつくまで暫く横になって時間を潰す。
中天に日が上るころようやくポロモと連絡をとり、出口を開けて貰うことになった。
『あい~。今日の味は苦味が少しだけなんで丁度良いの~』
(ん?一晩寝たから?いやもしかしてあいつ(バルバレス)のおかげか?)
ふとある考えが浮かぶ。
(もしかして精霊はオドに苦味を感じるとか?
だとするとバルバレスは苦味成分(オド)を好んで食している可能性が強いな)
不意に
『そうじゃ。』
と言う声が響く。
(えっ?)
『何を驚いておる。昨夜もお主と話たじゃろう?』
『そうか。俺のマナを食べたんでパスが通じたんだ…』
『そう言うことじゃ。短き間かも知れぬがよろしく頼むぞ。矮小なる者よ。』
『短き間?』
『ガルダとの約束の期日までの間じゃの。』
『正直俺はまだ生きたい。
駄目もとで聞くがバルバレスとガルダとの約束は破れないのか?
どんな縛りがあるか知らないが、あいつは俺が寝ている間に俺の同意の無いまま、バルバレスを俺に取り付けた。それって無効じゃないか?』
『どんな経緯がお主とガルダの間にあったかは知らん。儂は儂とガルダの契約に基づきその約束を果たすだけじゃ』
『そんな不条理な…』
『誰かの条理は誰かの不条理かも知れん。生きるってことはそういうことじゃろう?
食べられる側にとって食べる側の論理は不条理でしかないはず。』
『もし、俺がガルダより良い条件を出しても乗り換えることは出来ないのか?』
『駄目じゃな。太古より1つの契約は一人の者としか結べないこととなっておる。どんな魅惑的なものじゃろうとな。』
(まあ、さっさと魔石を納めてしまえば良いってことだな。)
俺は一旦説得を締めることにした。
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