味加減

近場で鹿を狩り、それを餌にガイアウルフを狩る。


そうして手に入れた魔石からオドを取り込みマナにブーストを駆け、鉱山へとひた走った。


鉱山へ着くと同時にザギンの木のある場所へと向かう。


『ボロモ入口を作ってくれないか?そして俺が中に入ったらすぐ塞いで欲しい。』


『その後噛ってかまわないの?』


『ああ。』


『それくらい簡単。』


そう言うがすぐに壁に口が空き、俺は中に入りこむとほぼ同時に口がしまった。


『頂きま~す。』

その一言と共にマナを吸われるが、今回俺は倒れることはなかった。


『それっぽっちで良いのか?』


『苦いの苦手~』


(ああ、そうか。オドがまだ体内に残っているんだな……)


『バルバレス、お前も吸って良いぞ。』


『ほう?なら有り難く。』


(これで、苦味は抜けたはず。)


みるみるうちに身体から力が吸われていくのが分かった。


それと同時に自分の腹が空いているのを改めて認識する。


(持ち主はもういないから俺が頂いても良いよな?)

たまらずザギンの実をもいで俺は頬張った。

ついつい3個、4個と手が伸びる。


(ボックにもし会うことがあったら沢山食ったこと謝らないとな。)


腹がくちくなると共に眠気が襲ってきた。

俺は地面に寝転び目を瞑る。

次に目を開けた時には夜になっていた。


◼️□◼️□◼️□◼️□


(ヤバい……ボロモが寝てしまう。)


慌てボロモを呼び出す。

幸いにもまだボロモは寝ておらず、すぐ姿を現した。


『何かごよう?』


『ここから下に穴を掘ってほしい。』



『え~。どのくらい?』


『予想だとこの下に空洞がある。そこまで繋げてくれないか?お礼にまた好きなだけ……』


『いやだ。』


『好きなだけだぞ?』


『最近味が苦すぎる。少しの苦味はアクセント。でもそれ以上は苦痛……』


『そんなこと言わず噛ってみな?苦くないと思うぞ?』


『本当に?』


『ああ。』


そしてボロモは俺にかじりついた。


『どうだ?』


『ん~。苦味やえぐみがまったくないの~』


『良かった。良かった。』


『良くないの~。えぐみが少しあるのがお前の良いところなの~』


(意外と微妙なんだな……。

今後バルバレスに少し苦味成分を残すように言わねば……)


『あい分かった……』

すぐに返答がくる。


(パスって楽なもんだ……)


そしてまた俺の意識は遠のく。

(結局なんやかんや言って噛るんじゃねぇか)

そうぼやくと、どこからかポロモの笑い声が聞こえた気がした。

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