狩人

館を出てから、俺の顔は緩みっぱなしだった。


(良いこと聞いた。

魔石は食わなくて良いんだな。

ボロスの前でぶっ倒れた昔の自分に聞かせてやりたい…。

カニバリストなんて二度と言わせないぞ。

でも、まず実験用にホーンラビットやガイアウルフを狩って実証しないとな。)




そして暫く後…

俺は学ぶ事となる。

『ホーンラビットの足は早い』と。

(だてに魔獣と喚ばれる訳じゃないな…。)


反面魔獣以外の獲物、鹿とか、うさぎ、鳥などは階位のおかげもあって比較的簡単に狩れる。

(ボーラに俺が慣れてきたことも理由の1つだろうな)


ホーンラビットを狩るのを断念して

ターゲットをガイアウルフに絞ることにした。


俺はガイアウルフの気配を探り、近場に赴く。

(ガイアウルフの気配は他の動物と違い濃いからすぐ分かるな)


そして手頃な木の上に登り石を数個用意した。


狩った鹿の首を切り、地面に血の匂いをふりまく。


急ぎ木の上に登り、出番を待った。

(今度は実弾もタップリある。猿かに合戦第二幕だ…)


暫く後、風向きが変わりガイアウルフの住む方向へと匂いが運ばれていく。


結果として…

無事俺はウルフの群れに囲まれることになった。


(よしっ)


ズバン


ズバン


ズバン


気持ち良いくらいに決まる。


『ウォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン』


5匹ほど狩ったところで、長めの遠吠えが聞こえた。

(撤退の判断遅くないか?まあ、俺としちゃ有難いが。)


木よりおり、ガイアウルフの亡骸より魔石を抜いた。


さてと、これからだ。


木の上に再度登り安全を確認した後、目を瞑る。魔石を手にし、手からオドが流れ込む様を想像する。

ふっと力が流れ込んでくるのが感じられた。


(成功だ。)


そしてこれは俺のマナ不足の解消に目処がついた瞬間でああった。





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